「ホームページだけでは他院との差別化が難しい」「もっと飼い主さんに病院の雰囲気を伝えたい」そんな悩みを抱えている動物病院経営者が増えています。
実は、YouTubeは動物病院にとって非常に相性の良い集患ツールです。診療風景や健康情報を動画で発信することで、文字や写真では伝わりにくい病院の雰囲気や獣医師の人柄を効果的にアピールできます。
本記事では、動物病院がYouTubeチャンネルを運営し、信頼を獲得しながら集患につなげる具体的な方法を解説します。
目次
- なぜ今、動物病院にYouTubeが必要なのか
- YouTubeチャンネル開設の基本ステップ
- 動物病院が発信すべき動画コンテンツ10選
- 撮影機材と編集ツールの選び方
- 視聴者を惹きつけるサムネイルとタイトルの作り方
- SEO対策で検索上位を狙う方法
- チャンネル登録者を増やす継続的な運営術
- 動画から予約・来院につなげる導線設計
- よくある失敗と対策
- まとめ
なぜ今、動物病院にYouTubeが必要なのか

動画コンテンツの圧倒的な訴求力
飼い主さんがペットの健康情報を調べる際、従来はGoogleで検索してテキスト記事を読むのが主流でした。しかし最近では、YouTubeで動画を見て学ぶ人が急増しています。
動画の情報量はテキストの5,000倍とも言われており、獣医師の表情や話し方、診療の実際の様子など、文字では伝わりにくい情報を効果的に届けられます。「この先生なら信頼できそう」という感情的なつながりを作りやすいのが、動画の最大の強みです。
競合との差別化ツールとして
現在、動物病院のYouTubeチャンネル運営はまだ一般的ではありません。多くの病院がホームページやSNSには力を入れていますが、YouTubeまで手が回っていないのが実情です。
つまり、今からYouTubeを始めることで、地域の競合病院に対して大きなアドバンテージを得られます。先行者利益を享受できる今が、まさに始めるべきタイミングなのです。
資産として蓄積される情報
YouTubeにアップロードした動画は、半永久的にインターネット上に残り続けます。一度作成した動画は、1年後も2年後も視聴され続け、継続的に集患に貢献します。
ブログ記事と同様、動画コンテンツも「資産」として積み上げることができるのです。100本、200本と動画が増えていけば、それだけで大きな差別化要因になります。
YouTubeチャンネル開設の基本ステップ
Googleアカウントの作成
YouTubeチャンネルを開設するには、まずGoogleアカウントが必要です。病院専用のアカウントを新規作成することをおすすめします。個人アカウントと混同しないよう、明確に分けて管理しましょう。
チャンネル名の決定
チャンネル名は病院名をベースにしつつ、何を発信するチャンネルか分かるようにします。
良い例としては「〇〇動物病院【犬猫の健康情報】」「〇〇動物病院チャンネル|獣医師が教えるペットケア」といった形です。検索されやすく、内容が一目で分かるチャンネル名にしましょう。
チャンネルアートとアイコンの設定
チャンネルアートはYouTubeチャンネルのヘッダー画像で、訪問者が最初に目にする重要な要素です。病院のロゴ、外観写真、獣医師の顔写真などを使い、プロフェッショナルな印象を与えるデザインにします。
アイコンは病院のロゴか、獣医師の顔写真がおすすめです。統一感のあるビジュアルで、ブランディングを強化しましょう。
チャンネル概要の記載
チャンネル概要欄には、病院の基本情報と発信内容を明記します。「〇〇市で開業15年の動物病院です。犬猫の健康情報、病気の予防法、日常ケアのコツなどを獣医師が分かりやすく解説します」といった形で、何を学べるチャンネルかを明確にしましょう。
ホームページURL、診療時間、住所、電話番号なども記載しておくと、動画から来院へとスムーズにつながります。
動物病院が発信すべき動画コンテンツ10選
- 病院紹介・施設案内動画
チャンネルを訪れた人が最初に見る「顔」となる動画です。受付から待合室、診察室、入院施設まで、院内を案内しながら病院の雰囲気を伝えます。
獣医師やスタッフの紹介も含めることで、「どんな人が診てくれるのか」が分かり、初めて来院する飼い主さんの不安を軽減できます。
- 症状別の解説動画
「犬の下痢|原因と病院に行くべき症状」「猫の嘔吐|様子を見ていい場合と危険な場合」といった、症状ごとの解説動画は非常に需要があります。
ホワイトボードやイラストを使いながら、分かりやすく説明しましょう。動画の最後には「心配な症状があれば、お気軽にご相談ください」と来院を促すメッセージを入れます。
- 予防医療・ワクチン解説
「子犬のワクチンスケジュール完全ガイド」「フィラリア予防はなぜ必要?」といった予防医療の解説動画も、飼い主さんにとって有益です。
予防医療への理解を深めてもらうことで、定期的な来院につながります。
- 日常ケアのハウツー動画
「犬の爪切りの正しいやり方」「猫の歯磨きトレーニング方法」「耳掃除の注意点」など、自宅でできるケアを実演する動画は人気があります。
実際のペットを使ってデモンストレーションすることで、飼い主さんも真似しやすくなります。ただし、飼い主さんに許可を得てから撮影しましょう。
- 診療風景(許可を得て)
飼い主さんの許可を得たうえで、実際の診療風景を撮影・公開するのも効果的です。「どんな風に診察が進むのか」「獣医師がどのように説明してくれるのか」が分かることで、初めての来院への心理的ハードルが下がります。
ただし、プライバシーには十分配慮し、飼い主さんの顔や個人情報が映らないよう注意が必要です。
- 季節ごとの健康管理
「夏の熱中症対策」「冬の寒さ対策」「春のノミ・ダニ予防」「秋の健康診断のすすめ」など、季節に応じた健康管理のアドバイスは、タイムリーな情報として喜ばれます。
毎シーズン新しい動画をアップすることで、定期的な視聴者の獲得にもつながります。
- よくある質問(FAQ)への回答
診療で飼い主さんからよく聞かれる質問に、動画で答えます。「去勢・避妊手術は何歳でするべき?」「シニア犬の食事で気をつけることは?」「多頭飼いの注意点は?」といった内容です。
一つの質問につき3〜5分程度の短い動画にすることで、視聴完了率が上がります。
- 病気・治療法の詳しい解説
「犬の椎間板ヘルニアとは?症状と治療法」「猫の慢性腎不全|早期発見と長生きのポイント」など、特定の病気について深く解説する動画も需要があります。
専門性の高い内容を分かりやすく解説することで、獣医師としての信頼を獲得できます。
- スタッフ紹介・インタビュー
獣医師や動物看護師、受付スタッフを一人ずつ紹介する動画も、親しみやすさを演出できます。「どんな想いで働いているか」「ペット飼育の経験」「得意な分野」などを語ってもらいましょう。
スタッフの人柄が伝わることで、病院全体への信頼感が高まります。
- ペットとの暮らし方・しつけアドバイス
「子犬を迎えたらまずやること」「トイレトレーニングの基本」「無駄吠え対策」など、しつけやペットとの暮らし全般のアドバイスも人気コンテンツです。
医療以外の情報も発信することで、チャンネルの幅が広がり、より多くの飼い主さんにリーチできます。
撮影機材と編集ツールの選び方
最初はスマートフォンで十分

「動画撮影には高価なカメラが必要」と思われがちですが、最近のスマートフォンのカメラ性能は十分です。iPhone、Androidの最新機種であれば、4K撮影も可能で、画質は全く問題ありません。
まずはスマートフォンで始めて、チャンネルが成長してきたら本格的な機材を検討すれば良いでしょう。
あると便利な撮影機材
スマートフォンでの撮影でも、いくつかの機材があるとクオリティが格段に上がります。
三脚は手ブレを防ぎ、安定した映像を撮影するために必須です。3,000円程度のもので十分です。マイクは内蔵マイクだと音がこもりやすいため、外付けのピンマイクやショットガンマイクがあると音質が向上します。5,000〜10,000円程度で購入できます。
照明も重要で、暗い室内での撮影は画質が落ちるため、LEDライトがあると明るく鮮明な映像になります。3,000〜5,000円程度のリングライトがおすすめです。
動画編集ソフトの選択
撮影した動画は、編集してから公開します。不要な部分をカットしたり、テロップを入れたり、BGMを追加したりすることで、見やすい動画になります。
初心者におすすめの編集ソフトとしては、iMovieがMac・iPhone向けで無料、直感的で使いやすいのが特徴です。PowerDirectorはWindows・Mac・スマホで使え、無料版もあります。CapCutはスマホで簡単に編集でき、無料で高機能です。
慣れてきたら、Adobe Premiere ProやFinal Cut Proといったプロ向けソフトに挑戦するのも良いでしょう。
視聴者を惹きつけるサムネイルとタイトルの作り方
サムネイルは動画の顔
YouTubeで動画を見るかどうかは、サムネイル画像で決まると言っても過言ではありません。魅力的なサムネイルを作ることが、再生数を伸ばす鍵です。
文字は大きく読みやすく、スマートフォンの小さな画面でも読めるサイズにします。重要なキーワードを強調し、「犬の下痢」「熱中症対策」など、一目で内容が分かるようにしましょう。
顔や表情を入れると、人の顔が入ったサムネイルはクリック率が高い傾向があります。獣医師の顔やペットの可愛い表情を活用しましょう。色は鮮やかに、背景と文字のコントラストをはっきりさせ、目を引くデザインにします。
タイトルの付け方
タイトルは検索結果にも表示されるため、SEO対策も意識しながら決めます。
キーワードを前半に配置し、「犬の下痢|原因と対処法を獣医師が解説」のように、重要なキーワードを前に持ってきます。具体的な数字を入れると、「猫の健康管理5つのポイント」「シニア犬の食事で気をつける3つのこと」など、具体的な数字があるとクリック率が上がります。
視聴者のメリットを明示し、「〜を獣医師が解説」「〜の正しい方法」など、視聴することで得られる価値を示しましょう。ただし、過度に煽るタイトル(クリックベイト)は避けるべきです。内容と合っていないタイトルは視聴者の信頼を損ないます。
SEO対策で検索上位を狙う方法

YouTube内の検索最適化
YouTubeは世界第2位の検索エンジンでもあります。Google検索と同様に、YouTubeでもSEO対策が重要です。
動画の説明欄には詳細な情報を記載しましょう。動画の内容を要約し、関連するキーワードを自然に含めます。病院のURL、SNSリンク、関連動画へのリンクなども記載します。
タグの設定では、動画の内容に関連するキーワードをタグとして設定します。「犬」「下痢」「動物病院」「獣医師」「健康管理」といった具合です。
Googleの動画検索にも表示される
YouTubeの動画は、Google検索の結果にも表示されることがあります。特に「〜 やり方」「〜 方法」といった検索では、動画が優先的に表示される傾向があります。
タイトルと説明文に検索されやすいキーワードを含めることで、Google検索からの流入も期待できます。
字幕(キャプション)の活用
YouTubeは動画の音声を自動で文字起こしする機能があります。この字幕データも検索対象になるため、正確な字幕を設定することでSEO効果が高まります。
自動生成された字幕は誤りが多いため、手動で修正するか、正確な字幕ファイルをアップロードしましょう。
チャンネル登録者を増やす継続的な運営術
定期的な投稿スケジュール
YouTubeで成功するには、継続が何より重要です。週1回、あるいは月2回など、無理のないペースで定期的に投稿しましょう。
投稿頻度が安定していると、視聴者も「次はいつ新しい動画が来るか」と期待してくれます。曜日を決めて投稿するのも効果的です。
動画の最後でチャンネル登録を促す
各動画の最後には「チャンネル登録がまだの方は、ぜひ登録をお願いします。ベルマークを押すと、新しい動画の通知が届きます」といった呼びかけを入れましょう。
YouTubeの機能として、終了画面に登録ボタンを表示させることもできます。
視聴者とのコミュニケーション
コメント欄に寄せられた質問には、できる限り返信しましょう。視聴者とのコミュニケーションが、ファンを増やすことにつながります。
「次はこんな内容の動画が見たい」というリクエストがあれば、積極的に取り入れます。視聴者が求めているコンテンツを作ることが、チャンネル成長の近道です。
他のSNSとの連携
YouTubeに動画をアップしたら、Instagram、Facebook、X(旧Twitter)などのSNSでもシェアしましょう。既存のフォロワーに動画を見てもらうことで、再生回数が伸びます。
ホームページにも動画を埋め込むことで、ホームページ訪問者にもYouTubeチャンネルの存在を知ってもらえます。
動画から予約・来院につなげる導線設計

動画の説明欄に予約リンクを配置
各動画の説明欄には、必ず病院の予約ページや問い合わせページへのリンクを記載しましょう。「動画の内容でご質問があれば、お気軽にご相談ください」といった文言とともに、URLを目立つ位置に配置します。
電話番号も記載しておくと、すぐに電話で問い合わせできます。
動画内での来院促進メッセージ
動画の最後には「こんな症状がある場合は、早めに動物病院を受診してください」「当院では〇〇の診療を行っています」といったメッセージを入れます。
ただし、露骨な宣伝にならないよう注意が必要です。あくまで「困ったときはご相談ください」というスタンスで、自然に伝えましょう。
院内でのYouTubeチャンネル紹介
待合室にQRコードを掲示したり、診察券にYouTubeチャンネルのURLを記載したりすることで、既存の患者さんにもチャンネルを知ってもらえます。
「自宅でも見られる健康情報をYouTubeで発信しています」と伝えることで、チャンネル登録を促しましょう。
よくある失敗と対策
完璧を目指しすぎて続かない
最初から完璧な動画を作ろうとすると、撮影や編集に時間がかかりすぎて続かなくなります。まずは「60点でも公開する」という気持ちで始めましょう。
継続することで徐々にスキルが上がり、動画のクオリティも自然に向上します。
再生回数を気にしすぎる
最初は再生回数が伸びないのが普通です。10回、20回でも、その動画を見てくれた人がいることを喜びましょう。
100本、200本と動画が蓄積されていくことで、徐々に再生回数も増えていきます。焦らず、長期的な視点で取り組むことが重要です。
専門用語を多用しすぎる
獣医学的に正確な情報を伝えようとするあまり、専門用語ばかりになってしまうケースがあります。視聴者は一般の飼い主さんですから、中学生でも理解できる平易な言葉で説明しましょう。
必要に応じて図やイラストを使い、視覚的にも分かりやすくする工夫が大切です。
個人情報への配慮不足
診療風景やペットの映像を撮影する際は、必ず飼い主さんの許可を得ましょう。飼い主さんの顔や個人情報が映らないよう、カメラアングルにも注意が必要です。
トラブルを避けるため、撮影前に書面で同意を得ておくと安心です。
まとめ
YouTubeは、動物病院が信頼を獲得し、集患につなげるための強力なツールです。診療風景や健康情報を動画で発信することで、文字や写真では伝わらない病院の雰囲気や獣医師の人柄を効果的にアピールできます。
成功のポイントは、視聴者にとって有益な情報を提供すること、継続的に投稿すること、視聴者とコミュニケーションを取ること、そして動画から来院へとスムーズに導く導線を作ることです。
まずはスマートフォンで病院紹介動画を1本作成することから始めてみましょう。完璧を目指さず、「まずは公開してみる」という気持ちで取り組むことが、継続の秘訣です。
動画制作や運営にお困りの際は、動物病院専門のホームページ制作・コンサルティングサービスをご活用ください。YouTubeチャンネルの立ち上げから、継続的な運営サポートまで、実践的なアドバイスを提供いたします。
【筆者紹介】 株式会社リバティーフェローシップ(動物病院経営ラボ) 代表:小澤直樹 動物病院・歯科医院専門のホームページ制作・経営コンサルティング会社。全国300以上の医療機関の集患支援実績を持ち、Web戦略からコンテンツマーケティングまで、総合的なサポートを提供しています。
