飼い主アンケートを活用した動物病院の信頼性向上施策|患者の声を戦略的に活かす

「口コミを増やしたいけど、なかなか書いてもらえない」「患者満足度を高めたいが、何を改善すればいいか分からない」

飼い主さんからの生の声は、動物病院にとって最も価値のある情報です。しかし、多くの病院がアンケートを取るだけで終わり、その声を集患や改善に活かせていません。

患者アンケートは、正しく設計・実施・活用することで、信頼性の向上、サービス改善、そして効果的なマーケティングツールになります。

本記事では、飼い主アンケートを戦略的に活用し、病院の信頼性を高めながら集患にもつなげる方法を解説します。

目次

  1. なぜ飼い主アンケートが信頼性向上に効果的なのか
  2. アンケート設計の5つの基本原則
  3. 回答率を高める依頼方法とタイミング
  4. 紙・Web・タブレット|最適な実施方法の選び方
  5. ホームページで患者の声を効果的に見せる方法
  6. ネガティブフィードバックへの対応術
  7. アンケート結果を改善につなげるPDCAサイクル
  8. NPS(推奨度)を測定して集患力を可視化する
  9. 実際の活用事例と成果
  10. まとめ

1.なぜ飼い主アンケートが信頼性向上に効果的なのか

第三者の声は最強の信頼材料

病院が自ら「当院は素晴らしいです」と言っても、説得力は限定的です。しかし、実際の患者さんが「ここは本当に良い病院でした」と言えば、その信頼性は何倍にも高まります。

消費者の約8割が、購入前に口コミやレビューを確認すると言われています。動物病院選びも同様で、飼い主さんは他の患者の評価を重視します。

改善点が明確になる

アンケートを通じて、飼い主さんが何に満足し、何に不満を感じているかが具体的に分かります。待ち時間が長い、説明が分かりにくい、料金が不透明、といった課題が浮き彫りになります。

これらの声に真摯に向き合い、改善することで、サービスの質が向上し、患者満足度が高まります。

スタッフのモチベーション向上

「丁寧な説明で安心できました」「スタッフの皆さんが優しかった」といったポジティブなフィードバックは、スタッフのモチベーションを大きく高めます。

自分たちの仕事が評価されていることを実感できれば、さらに良いサービスを提供しようという意欲が湧きます。

マーケティング素材として活用できる

患者の声は、ホームページ、パンフレット、院内掲示、SNSなど、あらゆる場面で活用できる貴重なマーケティング素材です。

「患者満足度95%」「リピート率90%以上」といった数値データも、アンケートから得られます。

2.アンケート設計の5つの基本原則

効果的なアンケートを作るには、設計段階での工夫が重要です。

原則1:質問数は10問以内に抑える

質問が多すぎると、回答者が途中で面倒になり、離脱率が上がります。本当に知りたいことだけに絞り、10問以内に収めましょう。

理想的には5〜7問程度です。短時間で答えられることが、回答率を高める鍵です。

原則2:選択式と自由記述を組み合わせる

すべて選択式だと楽ですが、深い洞察は得られません。逆にすべて自由記述だと、回答者の負担が大きくなります。

選択式の質問を中心に、最後に「その他、ご意見・ご感想があればお聞かせください」という自由記述欄を1つ設ける形がバランスが良いです。

原則3:5段階評価を活用する

「非常に満足」「満足」「普通」「やや不満」「不満」といった5段階評価は、定量的な分析がしやすく、おすすめです。

「満足」「不満」の2択では、中間的な評価ができず、正確な満足度が測れません。

原則4:具体的な項目に分けて質問する

「当院のサービスに満足していますか?」という漠然とした質問では、改善点が見えません。

「受付の対応」「待ち時間」「獣医師の説明」「料金の明瞭さ」「施設の清潔さ」といった具体的な項目ごとに評価してもらうことで、どこを改善すべきかが明確になります。

原則5:個人情報は最小限に

氏名や住所を聞くと、回答率が下がります。匿名で答えられることを明示し、個人情報は必要最小限にとどめましょう。

「年代」「性別」「ペットの種類」程度の属性情報があれば、十分に分析できます。

3.回答率を高める依頼方法とタイミング

アンケートを作っても、回答してもらえなければ意味がありません。回答率を高める工夫が必要です。

最適なタイミング

診察直後、会計を待っている間が最も回答率が高いタイミングです。診療への満足度や印象がまだ鮮明なうちに答えてもらえます。

受付で「お会計までの間に、簡単なアンケートにご協力いただけますか?」と声をかけ、タブレットや紙のアンケートを渡します。

後日メールで送る方法もありますが、回答率は下がります。診察当日にその場で回答してもらう方が効果的です。

依頼の仕方

「アンケートにご協力ください」だけでなく、目的を伝えることで協力を得やすくなります。

「より良いサービスを提供するため、ご意見をお聞かせください」「皆様の声をもとに、改善に取り組んでいます」といったメッセージを添えます。

所要時間も明示しましょう。「2〜3分で終わります」と伝えることで、心理的なハードルが下がります。

インセンティブの活用

アンケート回答者に小さな特典を提供することで、回答率が上がります。

「アンケートにお答えいただいた方に、次回使える500円割引券をプレゼント」「ペット用おやつをプレゼント」といった形です。

ただし、過度な特典は本音の回答を阻害する恐れがあるため、適度な範囲にとどめます。

スタッフの声かけが重要

機械的に「アンケートです」と渡すより、「〇〇ちゃん、今日はお利口さんでしたね。よろしければアンケートにご協力いただけますか?」と、温かく声をかけることで、協力してもらいやすくなります。

スタッフ全員がアンケートの重要性を理解し、積極的に依頼することが大切です。

4.紙・Web・タブレット|最適な実施方法の選び方

アンケートの実施方法には、それぞれメリット・デメリットがあります。

紙のアンケート

メリットとして、年齢を問わず誰でも答えやすい、その場で回答してもらいやすい、インターネット環境が不要といった点があります。

デメリットは、集計に手間がかかる、データ化が必要、保管場所を取る、環境負荷があるといった点です。

高齢の飼い主さんが多い病院や、デジタルツールに不慣れな層が中心の場合は、紙のアンケートが適しています。

Webアンケート(GoogleフォームやSurveyMonkeyなど)

メリットは、集計が自動で楽、グラフ化も簡単、回答データがすぐに分析できる、環境に優しいといった点です。

デメリットとして、その場での回答率が低い、メールやQRコードでの誘導が必要、高齢者には難しい場合があるといった点があります。

若年層が中心の病院や、メール・LINEでの連絡が普及している病院に適しています。

タブレットアンケート

メリットは、紙とWebの良いとこ取りで、その場で回答してもらえる、集計は自動、直感的に操作できる、といった点です。

デメリットは、タブレット端末の購入が必要(2〜5万円)、充電やメンテナンスが必要といった点です。

待合室にタブレットを数台置いておき、「こちらでアンケートにご協力ください」と案内する形が効率的です。

ハイブリッド方式

紙とWebの両方を用意し、患者さんに選んでもらう方法もあります。

「紙でもスマホでもお好きな方でどうぞ」と選択肢を提示することで、回答率が最大化されます。

5.ホームページで患者の声を効果的に見せる方法

集めたアンケート結果は、戦略的にホームページに掲載しましょう。

数値データで訴求する

「患者満足度95%」「リピート率90%以上」「5段階評価で平均4.5」といった数値は、一目で信頼性を示せます。

トップページのファーストビューや、診療案内ページに大きく表示することで、インパクトを与えられます。

具体的なコメントを引用する

「先生の説明が丁寧で分かりやすかった」「スタッフの皆さんが優しくて安心できた」「夜間診療があって助かった」といった具体的なコメントは、リアルな声として響きます。

5〜10件程度のコメントを厳選して掲載しましょう。ただし、飼い主さんの許可を必ず得ること、個人を特定できる情報は削除することが重要です。

ペット種・年代別に分類する

「犬の飼い主さんの声」「猫の飼い主さんの声」「シニアペットの飼い主さんの声」といった形で分類すると、読者は自分に近い立場の意見を見つけやすくなります。

ビフォーアフターと組み合わせる

症例紹介と患者の声を組み合わせることで、説得力が倍増します。

「治療前は歩けなかったのに、手術後2週間で走れるようになりました。本当に感謝しています」といった声と、実際の治療経過を一緒に掲載します。

定期的に更新する

「2020年のアンケート結果」と古い情報のままでは、信頼性が下がります。最低でも年1回は新しいアンケート結果に更新しましょう。

「2024年患者満足度調査結果」と年度を明記することで、鮮度をアピールできます。

6.ネガティブフィードバックへの対応術

アンケートには、必ずネガティブな意見も含まれます。これを恐れず、むしろ改善の機会と捉えましょう。

すべてのネガティブ意見に目を通す

「待ち時間が長い」「説明が早口で分かりにくかった」「料金が高いと感じた」といった意見は、痛いところを突かれますが、これこそが改善のヒントです。

複数の人が同じ不満を述べていれば、それは確実に改善すべき課題です。

迅速に改善策を実施する

ネガティブ意見を受けて、すぐに改善に取り組むことが重要です。

「待ち時間が長い」という声が多ければ、予約システムの導入、診療枠の見直し、待ち時間の目安表示などを検討します。

「説明が分かりにくい」という声があれば、スタッフ研修で説明の仕方を改善します。

改善したことを告知する

「皆様のご意見を受けて、〇〇を改善しました」とホームページや院内掲示で伝えることで、「患者の声を大切にする病院」という印象を与えられます。

「待ち時間短縮のため、オンライン予約システムを導入しました」といった形で、具体的な改善策を示します。

直接フォローアップする

特に深刻なクレームや不満があった場合、可能であれば直接連絡を取り、謝罪と改善策を伝えることも検討します。

真摯な対応が、逆に強固な信頼関係を築くきっかけになることもあります。

7.アンケート結果を改善につなげるPDCAサイクル

アンケートを取ることが目的ではなく、改善につなげることが真の目的です。

Plan(計画):アンケートの設計

何を知りたいのか、どの項目を改善したいのかを明確にして、質問項目を設計します。

Do(実行):アンケートの実施

計画に基づいて、実際にアンケートを実施します。目標として、月間来院患者の30%以上から回答を得ることを目指します。

Check(評価):結果の分析

集まったデータを集計し、満足度の平均点、項目別の評価、ネガティブ意見の傾向などを分析します。

特に評価の低い項目、複数の人が指摘している課題を洗い出します。

Action(改善):施策の実施

分析結果に基づいて、具体的な改善策を実施します。

「受付の対応」の評価が低ければ、スタッフ研修を実施。「待ち時間」が課題なら、予約システムや診療フローを見直す、といった形です。

このサイクルを継続する

3ヶ月〜半年ごとにアンケートを実施し、改善の効果を測定します。前回より満足度が上がっていれば、改善が成功している証拠です。

8.NPS(推奨度)を測定して集患力を可視化する

NPS(Net Promoter Score)は、顧客ロイヤルティを測る世界標準の指標です。

NPSとは

「この病院を友人や家族に勧める可能性は、10点満点で何点ですか?」という1つの質問で測定します。

9〜10点をつけた人を「推奨者」、7〜8点を「中立者」、0〜6点を「批判者」に分類します。

NPSは「推奨者の割合 − 批判者の割合」で計算されます。

NPSの評価基準

NPSが+50以上なら非常に優秀、+10〜+50なら良好、0〜+10なら平均的、マイナスなら要改善です。

動物病院の平均的なNPSは+20〜+40程度と言われています。

NPSが高いと何が良いのか

NPSが高い、つまり推奨者が多い病院は、口コミによる新規患者獲得が自然に起こります。広告費をかけなくても、患者が患者を呼ぶ好循環が生まれます。

NPSを定期的に測定し、目標値を設定して改善に取り組むことで、長期的な成長が実現します。

9.実際の活用事例と成果

飼い主アンケートを戦略的に活用して成功した動物病院の事例を紹介します。

事例1:東京都の中規模病院

四半期ごとにタブレットアンケートを実施し、結果をスタッフ全員で共有していました。

「待ち時間が長い」という声が多かったため、オンライン予約システムを導入。待ち時間を30%削減し、次回のアンケートで満足度が20%向上しました。

患者の声の一部をホームページに掲載したところ、「ホームページの口コミを見て来た」という新規患者が月10件以上増加しました。

事例2:大阪府の小規模病院

紙のアンケートを毎月実施し、ポジティブなコメントを院内に掲示していました。

「スタッフの対応が素晴らしい」という声が多かったため、それをホームページのトップページに大きく掲載。「スタッフが優しいと聞いて選んだ」という新規患者が増えました。

スタッフのモチベーションも向上し、さらに良いサービスを提供する好循環が生まれました。

事例3:神奈川県の専門病院

NPSを測定し、推奨者と批判者にそれぞれヒアリングを行いました。

推奨者からは「専門的な治療ができる」「説明が丁寧」という声が、批判者からは「料金が高い」「予約が取りにくい」という声が集まりました。

料金の透明性を高めるため、ホームページに詳細な料金表を掲載。予約枠を増やし、夜間診療も拡充しました。

半年後のNPSは+15から+35に向上し、新規患者数も30%増加しました。

10.まとめ

飼い主アンケートは、信頼性の向上、サービス改善、そして効果的なマーケティングツールとして、動物病院経営に欠かせない施策です。患者の生の声は、何よりも価値のある情報源です。

成功のポイントは、回答しやすいアンケートを設計すること、その場で回答してもらう工夫をすること、集めた声をホームページで戦略的に見せること、ネガティブ意見を改善のチャンスと捉えること、そしてPDCAサイクルを回し続けることです。

まずは簡単な5問のアンケートを作り、次回来院される患者さん10人に試してみましょう。小さな一歩が、やがて大きな信頼性向上と集患効果につながります。

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アンケートの設計、実施方法の選定、結果の分析、ホームページへの掲載方法など、効果的なアンケート活用には専門的なノウハウが必要です。

株式会社リバティーフェローシップ(動物病院経営ラボ)では、動物病院専門のアンケート活用支援サービスを提供しています。全国300以上の医療機関での実績をもとに、貴院に最適なアンケート戦略をご提案します。

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【筆者紹介】 株式会社リバティーフェローシップ(動物病院経営ラボ) 代表:小澤直樹 動物病院・歯科医院専門のホームページ制作・経営コンサルティング会社。全国300以上の医療機関の集患支援実績を持ち、患者アンケート活用を含む総合的な信頼性向上施策をサポートしています。