患者様情報をまとめるページレイアウトの最適化

飼い主様がホームページにアクセスして、最初に探すのは何でしょうか?院の診療方針でも、医師の経歴でもなく、圧倒的に多いのが「営業時間」「所在地」「電話番号」といった、基本情報です。

しかし、多くの動物病院のホームページでは、この重要な基本情報が、複数のページに分散していたり、見つけにくい場所に配置されていたり、そもそも見やすく整理されていません。

結果として、飼い主様は「営業時間が見つからない」「どうやって予約すればいいのか分からない」とストレスを感じ、別の病院のホームページへ移動してしまいます。アクセス解析データによると、基本情報にたどり着くまでに3ステップ以上必要な場合、ユーザーの約70%が離脱するというデータもあります。

本記事では、診察情報、営業時間、アクセス情報を一目瞭然に表示し、飼い主様がストレスなく行動できる患者様情報ページのレイアウト最適化方法をご紹介します。

目次

  1. 患者様情報ページの重要性
  2. 基本情報の優先度付けと配置戦略
  3. 営業時間・診療科目の見やすい表示方法
  4. アクセス情報とGoogleマップの統合
  5. スマートフォン最適化のポイント
  6. 情報構成のベストプラクティス
  7. CTAボタンの戦略的配置
  8. 実例:レイアウト改善による効果
  9. まとめ

1.患者様情報ページの重要性

ユーザー行動データから見える優先順位

Webアクセス解析から、飼い主様のホームページ訪問後の行動パターンが明らかになっています。

ホームページ訪問後、約85%のユーザーが「基本情報を確認する」という行動を最初に取ります。その検索順序は、以下の通りです。

順位 情報内容 確認時間 ユーザー割合
1位 営業時間 訪問から10秒以内 85%
2位 所在地・アクセス 訪問から30秒以内 72%
3位 電話番号 訪問から1分以内 68%
4位 診療科目・対応動物 訪問から2分以内 45%

このデータから分かることは、ユーザーが最初に知りたいのは「今、診てもらえるのか」という、極めてシンプルな情報だということです。

基本情報の発見困難性がもたらす離脱

多くのホームページで、この重要な基本情報が、ユーザーに発見されにくい場所に配置されています。例えば、以下のような問題が起きています。

  • トップページには院の理想を語るテキストが大量に書かれていて、営業時間は下の方に小さく表示されている
  • 営業時間はトップページにあるが、診療科目ごとの営業時間は「診療内容ページ」のさらに下に埋もれている
  • 「アクセス」という小さなメニュー項目をクリックしないと、住所が見えない

このような「発見困難性」により、飼い主様は「使いづらい」と感じ、ホームページから離脱してしまうのです。

SEO観点からも重要

検索エンジンは、「ユーザーが探している情報にたどり着きやすいか」を評価基準の一つとしています。特に医療機関の検索では、基本情報(営業時間、所在地、電話番号)が適切に構造化されているサイトを高く評価します。

これは「LocalBusinessSchema」という、構造化データの標準形式で実装することで、Google検索結果での表示方法をカスタマイズでき、クリック率の向上につながるのです。

2.基本情報の優先度付けと配置戦略

「情報の階層化」と「ページの実画面」の関係性

患者様情報ページでは、「すべての情報が同じ重要度ではない」ことを理解することが極めて重要です。以下のような優先順位で、情報を物理的に配置する必要があります。

優先度 情報の種類 ユーザーニーズ 配置場所 表示サイズ
最高 営業時間 「今、診てもらえるか」の判断 ページ最上部/スティッキー固定 24px以上
最高 電話番号 「どこに電話すればいいか」 ページ最上部/スティッキー固定 24px以上
所在地・アクセス 「どこにあるのか」「行けるのか」 ページ上部、地図表示 20px以上
診療科目・休診日 「自分のペットを診てもらえるのか」 上中部、見出し的な位置 18px以上
中~低 設備紹介・スタッフ紹介へのリンク 「この院の特徴は何か」 中部~下部 16px

この優先度に基づいて、ページレイアウトを設計することで、ユーザーが最初に必要な情報に、最短距離でアクセスできるのです。

スティッキー要素(固定表示)の活用

スマートフォンでページをスクロールしても、常に見える位置に「営業時間」「電話番号」「予約ボタン」を固定することで、ユーザーはどこにいても行動を起こせます。

この「スティッキーヘッダー」または「スティッキーフッター」により、離脱率が20~30%改善されるというデータがあります。

スティッキー要素の設定例

スマートフォン表示:

画面下部に常に固定される要素

┌─────────────────────────┐

│ 電話番号: 026-123-4567  │ ← タップで発信

│ 「予約する」ボタン      │ ← メインカラー

└─────────────────────────┘

このような固定要素を配置することで、飼い主様は「営業時間を確認して、すぐに電話する」という流れが1ステップで完結するのです。

3.営業時間・診療科目の見やすい表示方法

営業時間表の最適な形式

営業時間は、表形式で表示することが最も分かりやすいです。複雑な説明文や箇条書きではなく、誰もが瞬時に理解できる表形式が推奨されています。

標準的な営業時間表

曜日 午前 午後 休診日
月〜金 9:00-12:00 15:00-18:00 なし
土曜日 9:00-12:00 13:00-16:00 なし
日曜日 10:00-12:00 14:00-17:00 なし
祝日 10:00-12:00 14:00-16:00 なし

このような表形式により、ユーザーは一目瞭然で営業時間を把握できます。また、このデータは「LocalBusinessSchema」の形式でHTMLに埋め込むことで、Google検索結果にも反映され、検索ユーザーが検索結果から直接営業時間を確認できるようになります。

複数の診療時間がある場合の工夫

複数医師の診療スケジュールや、予約制と受付制が混在する場合、情報が複雑になりやすいです。その場合、以下のような工夫が効果的です。

タブ形式での表示

「月〜金」「土曜日」「日曜日・祝日」というタブを設置し、タブをクリックすると該当する営業時間が表示される形式。これにより、ユーザーは自分が知りたい営業時間にだけ集中できます。

カラーコーディングの活用

営業時間表で、以下のようにカラーを使い分けることで、視覚的に情報が整理されます。

  • 通常営業(緑色背景):通常通り診療している時間帯
  • 午前診療のみ(黄色背景):午後は診療していない時間帯
  • 予約制(オレンジ色背景):要予約の時間帯
  • 休診(グレー背景):診療していない曜日

色を使うことで、ユーザーは表をすべて読まずとも、色の違いで情報を瞬時に把握できます。

「休診日」の明確な表示

「年中無休」「月曜日定休」など、休診日をはっきり書くことで、ユーザーの混乱を防げます。特に祝日や盆正月の営業状況は、別途アナウンスする工夫が重要です。

効果的な休診日表示例

【定休日】 月曜日

【盆休み】 8月13日(日)~8月16日(水)

【年末年始】 12月29日(火)~1月4日(月)

【祝日営業】 祝日も通常通り営業いたします

このように「いつ診てもらえないのか」を明確にすることで、飼い主様の不信感を払拭できます。

4.アクセス情報とGoogleマップの統合

Googleマップ埋め込みの最適化

Googleマップをホームページに埋め込む際、以下のポイントを確認しましょう。

  1. マーカーの設置:病院の位置にマーカーを立て、「ここが当院です」と明記する
  2. ズームレベル:ズームレベル15~16が、周辺環境とともに病院の位置が把握しやすいレベル
  3. レスポンシブ対応:スマートフォン表示でも、地図がきちんと表示されるか確認
  4. マーカー情報:マーカーをクリックすると、医院名、住所、電話番号が表示されるよう設定

高品質なGoogleマップ表示により、ユーザーが「自分が迷子にならずに到着できるか」という安心感を得ることができます。

アクセス情報テキストの充実

住所だけでなく、以下の情報を追加することで、ユーザーの「行ける不安」を軽減できます。

情報の種類 例文 効果
交通アクセス 「JR〇〇駅から徒歩12分。バス停▲▲から徒歩3分」 来院ルートの明確化
駐車場情報 「専用駐車場8台完備。満車時は近隣コインパーキング▲▲をご利用ください」 駐車場探しの時間短縮
ランドマーク 「〇〇商店の隣です。看板が目印。緑色の建物が当院です」 初訪問でも迷わない
入り口情報 「北側入り口が患者様専用。南側は獣医師用です」 スムーズな来院

これらの情報があることで、初めて来院するユーザーの不安が大きく軽減されます。

「Googleビジネスプロフィール」との連携

Googleマップ検索での表示を強化するために、Google ビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)を最適化することも重要です。

  • 営業時間の正確な入力:曜日ごと、祝日ごとに正確に入力
  • 電話番号の登録:予約電話番号をメインに、複数番号がある場合は説明を付記
  • ウェブサイトのURL登録:患者様情報ページのURLを直接指定
  • 定期的な投稿:週1回程度の営業情報やキャンペーン投稿

これらを実施することで、「〇〇市 動物病院」といった地域キーワードでの検索順位が向上します。

5.スマートフォン最適化のポイント

デスクトップ表示との違い

デスクトップ画面では、左側に営業時間・診療科目、右側にGoogle Mapsを並べる「2列レイアウト」が効果的です。この配置により、ユーザーは営業時間を確認しながら、同時に所在地を把握できます。

しかし、スマートフォン画面では、情報が縦に積み重なるため、情報の「順序」が極めて重要になります。

スマートフォン表示での情報順序

スマートフォン画面では、以下の順序で配置することが最適です。

スマートフォン版:患者様情報ページの情報順序

  1. ヘッダー(院名、ロゴ)
  2. 営業時間表(最初に必要な情報)
  3. 電話番号+予約ボタン(行動喚起)

↓スティッキー要素として常に表示

  1. 所在地テキスト
  2. Googleマップ
  3. 詳細なアクセス情報
  4. 診療科目一覧
  5. 設備・スタッフ情報へのリンク

この順序により、飼い主様は営業時間を確認したら、すぐに電話・予約へたどり着けるのです。

タッチターゲットのサイズ確保

スマートフォンでは、指でタップするため、タップ対象(ボタンやリンク)は最低でも44×44ピクセル以上が必要です。

高齢の飼い主様も多い動物病院では、さらに大きい48×56ピクセル程度のサイズが理想的です。

6.情報構成のベストプラクティス

トップセクション:最も重要な情報を凝縮

ページ最上部(ファーストビュー、つまりスクロール不要で見える範囲)には、以下を配置します。

営業時間表と電話番号

  • 営業時間:表形式で、最低18px以上の文字サイズ
  • 電話番号:スマートフォン表示では「tel:」リンクで、クリックで自動発信
  • 予約ボタン:メインカラーで、44×44ピクセル以上

ミドルセクション:詳細情報を視覚的に整理

ページ中部には、以下の情報を配置します。

所在地情報とGoogle Maps

住所を単に「〇〇県△△市□□1-2-3」と表示するだけでなく、以下のような構成が効果的です。

  1. 住所テキスト:大きな文字で住所を表示(20px以上)
  2. Google Maps埋め込み:住所の地図を埋め込み、「ここだ」と一目瞭然に
  3. アクセス方法の記載:「駅から徒歩10分」「駐車場5台完備」など

Google Mapsを埋め込むことで、ユーザーは「ナビゲーションを開く」ボタンをタップするだけで、自動的にナビゲーションアプリが起動し、病院までのルート案内が始まります。

ボトムセクション:関連情報への導線

ページ下部には、詳細情報や関連ページへのリンクを配置します。

  • スタッフ紹介ページへのリンク:「スタッフを知る」ボタン
  • 料金表ページへのリンク:「料金を確認する」ボタン
  • よくある質問ページへのリンク:「よくある質問を見る」ボタン
  • SNS(Facebook、Instagram)への導線:「SNSをフォロー」ボタン

7.CTAボタンの戦略的配置

複数のCTA配置の必要性

導線設計において、「ボタンは1つだけ」という原則は誤りです。むしろ、複数の段階で、異なるCTAボタンを配置することで、ユーザーのニーズに応じた行動機会を提供できます。

ページ内でのCTAボタン配置

位置1:ページ最上部(ファーストビュー)

  • テキスト:「今すぐ電話で予約」
  • 色:メインカラー(最も目立つ色)
  • サイズ:48×56ピクセル以上
  • 対象ユーザー:「すぐ予約したい」セグメント

位置2:営業時間表の直下

  • テキスト:「オンラインで予約する」
  • 色:アクセントカラー(セカンダリー)
  • 対象ユーザー:「オンラインで完結させたい」セグメント

位置3:Google Maps下部

  • テキスト:「ナビゲーションを開く」
  • 色:Googleカラー(青系)
  • 対象ユーザー:「ナビゲーションで到着したい」セグメント

位置4:ページ下部フッター

  • テキスト:「よくある質問」「スタッフを知る」
  • 色:グレー系(ニュートラル)
  • 対象ユーザー:「さらに詳しく知りたい」セグメント

8.実例:レイアウト改善による効果

事例1:情報が散在していた院

ある動物病院では、営業時間がトップページに記載されておらず、患者様情報ページのさらに下部に小さく表示されていました。アクセス情報は「アクセス」という小さなメニュー項目の先にあり、ユーザーは3ステップ以上クリックする必要がありました。

改善前の状況

  • 患者様がホームページを訪問 → 営業時間が見つからない → 検索してスクロール → ページを離脱
  • 直帰率:約65%
  • ページ滞在時間:平均45秒
  • 予約フォーム到達率:12%

改善内容

  1. 営業時間をページ最上部に大きく配置(表形式)
  2. スティッキーフッターで営業時間と電話番号を常表示
  3. Google Mapsを中央に配置
  4. スマートフォン表示での情報順序を最適化
  5. CTAボタンを複数配置

改善後の効果

  • 直帰率が65%から35%に改善
  • ページ滞在時間が平均45秒から2分20秒に延長
  • 予約フォーム到達率が12%から32%に向上
  • 月間新患数が20%増加(月間30名→36名)

事例2:スマートフォン対応で大きく成功

別の動物病院では、デスクトップ表示は優れていたが、スマートフォン表示での情報配置が不適切でした。営業時間を確認するまでに3回のスクロールが必要で、スマートフォンからの予約率が極めて低かったのです。

改善前

  • スマートフォンからの新患数:月間5名
  • スマートフォン直帰率:58%

改善内容

  1. スマートフォンでスクロール不要な位置に営業時間を配置
  2. スティッキーヘッダーで電話番号と予約ボタンを常表示
  3. タップしやすい大きなボタンサイズ(48×56px)に変更
  4. 情報の順序を最適化(営業時間→電話→地図)

改善後の効果

  • スマートフォンからの新患数が月間5名→月間18名に向上
  • スマートフォン直帰率が58%から32%に改善
  • 全体の予約数(PC+スマートフォン)が約35%増加
  • Google検索での「〇〇市 動物病院」での表示順位が3位上昇

9.まとめ

患者様情報ページのレイアウト最適化は、単なるデザイン問題ではなく、直結する集患効果を持つ重要なマーケティング要素です。

営業時間、電話番号、所在地という、ユーザーが最初に知りたい情報を、ページ最上部に配置し、スマートフォン表示ではスティッキー要素で常に見える状態にすることで、ユーザーはストレスなく予約へ至ります。

Google Mapsの埋め込み、複数のCTA配置、内部リンクによる関連情報への導線設計により、SEO効果も同時に高まります。結果として、検索順位の向上と離脱率の低減の両面で、集患が加速するのです。

患者様情報ページは「ホームページの案内係」です。この案内が優れていることで、飼い主様は迷わず予約へたどり着き、やがて来院へと進むのです。


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