画像最適化でページ速度を30%削減する方法

ホームページの読み込み速度が遅い原因の、実に60~70%は「画像」です。

診察風景の写真、スタッフの集合写真、施設紹介の画像—医院の信頼感を高める重要な要素である画像が、同時に、ページ全体を重くしているのです。

しかし、ここに朗報があります。適切な画像最適化により、画像のファイルサイズを30~50%削減することができ、その結果、ページ全体の読み込み速度が20~30%改善されるのです。

つまり、記事を書き直す必要もなく、デザインを変更する必要もなく、「画像の使い方を少し変える」だけで、ページ速度が劇的に改善されるのです。

本記事では、画像最適化の具体的な方法と、実際の効果を詳しく解説します。

目次

  1. ホームページの画像問題の現状
  2. WebP形式への変換がなぜ効果的か
  3. WebP形式への変換方法(ツール別ガイド)
  4. 画像圧縮の基本的な考え方
  5. 無料圧縮ツールの活用術
  6. 画像最適化の実装ステップ
  7. モバイル対応の画像最適化
  8. 実例:画像最適化による速度改善効果
  9. よくある質問と対策
  10. まとめ

 

1.ホームページの画像問題の現状

なぜ医院ホームページは画像が多いのか

動物病院のホームページは、他業種と比較して、画像を多く掲載する傾向があります。

診察風景、治療前後の症例、施設紹介、スタッフ紹介—信頼感を醸成するためには、「見た目」が極めて重要だからです。

実際、患者様がホームページを訪問するとき、最初に見るのは「テキスト」ではなく「画像」です。ページ全体の雰囲気、スタッフの顔、施設の清潔感—これらは、すべて画像を通じて伝わります。

未最適化画像のファイルサイズ問題

多くの医院ホームページで見られる問題が、「デジタルカメラから直接、未処理のまま掲載されている画像」です。

デジタルカメラの画像ファイルサイズは、通常、1枚あたり5~10MBです。これを、何の処理もせずにホームページに掲載すれば、ページ全体のファイルサイズが、異常に大きくなるのです。

実際には、Webでの表示には、高々、幅1,200ピクセル、ファイルサイズ200~500KB程度で十分です。つまり、デジタルカメラの画像は、「10倍以上、オーバースペック」なのです。

ページ全体のファイルサイズと読み込み速度の関係

ホームページのトップページ全体のファイルサイズが、平均で2~3MBだとすれば、そのうち1.5~2MBが画像という場合が多いです。つまり、ページ全体の60~70%が画像で占められているのです。

このような状況では、ページ読み込み速度の改善は、画像最適化なしには成し遂げられないのです。

2.WebP形式への変換がなぜ効果的か

WebP形式とは

WebP(ウェッピー)は、Googleが開発した、次世代の画像形式です。従来のJPEG形式やPNG形式と比較して、同じ画質で、ファイルサイズを20~40%削減することができます。

つまり、ユーザーから見ると「画質は変わらないが、読み込みが高速になる」という、一石二鳥の効果が得られるのです。

他の画像形式との比較

JPEG形式:従来から使われてきた形式。圧縮率は高いが、JPEG独特の「ノイズ」が生じる場合がある。

PNG形式:透過性を保持できる形式。GIFより高品質だが、ファイルサイズが大きい。

WebP形式:上記両者を上回る圧縮率。透過性も保持でき、アニメーション機能も備える。デメリットは、古いブラウザ(Internet Explorer等)では表示されない点。

ただし、2024年現在、Internet Explorerはほぼ使用されていないため、WebP形式は実質的に、デメリットがない最良の選択肢なのです。

WebP形式導入による効果

実際の計測データでは、同一の写真をJPEG形式とWebP形式で圧縮した場合、ファイルサイズは以下のように削減されます。

診察風景写真の例

  • JPEG形式:800KB
  • WebP形式:480KB
  • 削減率:40%

スタッフ集合写真の例

  • JPEG形式:1.2MB
  • WebP形式:650KB
  • 削減率:46%

このように、WebP形式への変換だけで、40~50%のファイルサイズ削減が可能なのです。

3.WebP形式への変換方法(ツール別ガイド)

方法1:オンラインツール(CloudConvert)

最も簡単な方法は、オンラインツールを使用することです。

CloudConvert(https://cloudconvert.com)にアクセスし、以下の手順を実施します。

  1. 「Convert to」から「WebP」を選択
  2. 変換したい画像ファイルをアップロード
  3. 「Convert」をクリック
  4. 変換されたファイルをダウンロード

メリット:インストール不要、ブラウザで完結 デメリット:1回の変換に数秒の処理時間、複数ファイル時は効率が落ちる

方法2:デスクトップツール(XnConvert)

複数の画像を一括変換したい場合は、デスクトップツールが便利です。

XnConvert(無料版あり)をインストールし、以下の手順を実施します。

  1. XnConvertを起動
  2. 「Add Files」で、変換したいフォルダを選択
  3. 「Output」で出力形式を「WebP」に設定
  4. 圧縮レベルを「80」に設定(推奨)
  5. 「Convert」をクリック

メリット:一度に数百の画像を一括変換可能、処理速度が高速 デメリット:インストールが必要、UI が複雑

方法3:WordPressプラグイン

WordPressでホームページを運用している場合は、プラグインの使用が最も簡単です。

Imagify(有料版あり、無料版で月間25MB変換可能)をインストールし、以下の設定を実施します。

  1. プラグインをインストール、有効化
  2. 「Settings」から「Auto Imagify」を有効化
  3. 「WebP conversion」を有効化
  4. 既存の画像を一括最適化

メリット:WordPress内ですべて完結、自動最適化可能 デメリット:有料版はコストがかかる

方法4:コマンドラインツール(ImageMagick)

技術的な知識がある場合は、コマンドラインで一括変換することも可能です。

ImageMagickをインストール後、以下のコマンドを実行します。

convert input.jpg -quality 80 output.webp

このコマンドにより、JPEGファイルがWebP形式に変換されます。

 

4.画像圧縮の基本的な考え方

圧縮レベルの設定

画像を圧縮するとき、最も重要な判断は「どの程度まで圧縮するか」です。

圧縮レベルを強くしすぎると、画質が低下します。逆に、圧縮レベルを弱くすると、ファイルサイズが削減できません。

推奨される圧縮レベルは、用途によって異なります。

診察風景、症例写真:圧縮レベル75~80推奨。写真品質が重要だため、高めの設定。

スタッフ紹介写真:圧縮レベル70~75推奨。顔のディテールが重要だため、中程度の設定。

施設内観写真:圧縮レベル60~70推奨。全体の雰囲気が重要だため、やや圧縮度を上げられる。

アイコン、ロゴ:PNG形式推奨。WebPより適切な場合もある。

画像サイズの最適化

ファイルサイズの削減に加えて、「画像の解像度」も最適化することが重要です。

ホームページ上で、幅1,200ピクセルで表示される画像を、4,000ピクセルの解像度で用意する必要はありません。

推奨される画像サイズは、表示位置によって異なります。

ヘッダー画像:幅1,920ピクセル推奨。高解像度モニターへの対応が必要。

本文内画像:幅800~1,000ピクセル推奨。通常のスマートフォン・デスクトップ対応。

サムネイル画像:幅300~400ピクセル推奨。ブログ一覧などで使用。

5.無料圧縮ツールの活用術

Tiny PNG / Tiny JPG

最も使いやすいツールは、TinyPNG(https://tinypng.com)です。

画像をドラッグ&ドロップするだけで、自動的に最適な圧縮が行われます。

TinyPNGは、WebP形式への自動変換機能はありませんが、JPEGやPNG形式での高品質な圧縮が可能です。

使い方:ファイルをドラッグ&ドロップ → ダウンロード

削減効果:平均30~40%のファイルサイズ削減

Compressor.io

Compressor.io(https://compressor.io)は、複数形式の圧縮に対応したツールです。

品質調整スライダーがあり、自分の好みに合わせて圧縮レベルをカスタマイズできます。

使い方:ファイルアップロード → 品質スライダーを調整 → ダウンロード

削減効果:平均35~50%のファイルサイズ削減

ImageOptim(Mac用)

ImageOptim(Macユーザー向け、無料)は、ローカルで画像を最適化するツールです。

フォルダごと放り込むだけで、自動的に圧縮が行われます。

使い方:フォルダをドラッグ&ドロップ → 自動圧縮完了

削減効果:平均25~35%のファイルサイズ削減

6.画像最適化の実装ステップ

ステップ1:現在の画像状況を把握

まず、自院のホームページにどれだけの未最適化画像が掲載されているか、把握することが重要です。

Google ChromeのDevTools(開発者ツール)を開いて、ページ内の各画像のファイルサイズを確認します。

幅1,200ピクセルで表示されている画像が、500KB以上あれば、確実に最適化の対象です。

ステップ2:優先順位の決定

すべての画像を一度に最適化するのではなく、優先順位をつけることが現実的です。

優先度高:ホームページトップ、ヘッダー画像。ここの読み込み速度が特に重要。

優先度中:診療科目ページの写真。患者様がよく訪問するページ。

優先度低:ブログ記事の古い画像、アーカイブページ。アクセスが少ない。

ステップ3:バッチ処理による一括最適化

複数の画像を効率的に処理するため、バッチ処理を活用します。

XnConvertなどのツールなら、フォルダ全体を指定して、数百の画像を一度に圧縮できます。

ステップ4:変換結果の確認

最適化後、画質が許容範囲内か確認することが重要です。

対象となる画像を、元のバージョンと比較して、視覚的にチェックします。

医療写真の場合、画質の低下は信頼感を大きく損なうため、慎重な確認が必須です。

ステップ5:ホームページへのアップロード

FTPクライアントやWordPressメディアアップローダーを使用して、最適化された画像をアップロードします。

古いバージョンの画像との重複を避けるため、ファイル名を変更したり、フォルダを分けたりすることが有効です。

7.モバイル対応の画像最適化

レスポンシブ画像の実装

スマートフォンとデスクトップでは、必要な画像サイズが異なります。

スマートフォンで4,000ピクセルの高解像度画像を読み込むことは、帯域幅の無駄です。

HTMLの「srcset」属性を使用することで、デバイスに応じて最適なサイズの画像を提供できます。

<img src=”image-1200.webp”

srcset=”image-800.webp 800w, image-1200.webp 1200w”

alt=”診察風景”>

このコードにより、スマートフォンでは800ピクセル版、デスクトップでは1,200ピクセル版の画像が自動的に選ばれます。

8.実例:画像最適化による速度改善効果

事例:画像最適化で読み込み速度が4.2秒から2.8秒へ

ある動物病院のホームページは、トップページ当たり平均3.5MBのファイルサイズを有していました。

そのうち、2.8MBが画像でした。

実施内容

  1. 全画像をWebP形式に変換(圧縮レベル80)
  2. 画像解像度を最適化(不要な高解像度を削除)
  3. レスポンシブ画像を実装
  4. TinyPNGで追加圧縮

改善結果

トップページのファイルサイズが3.5MBから2.1MBに削減され、読み込み速度が4.2秒から2.8秒に改善されました。

指標 改善前 改善後 削減率
ページファイルサイズ 3.5MB 2.1MB 40%
画像ファイルサイズ 2.8MB 1.4MB 50%
読み込み速度 4.2秒 2.8秒 33%
月間新患 18名 28名 +56%

9.よくある質問と対策

Q1:WebP形式で、古いブラウザで表示されない場合は?

A:2024年現在、Internet Explorer以外のすべてのモダンブラウザがWebP対応です。Internet Explorerはサポート終了しているため、実務上の問題はありません。ただし、確実を期す場合は、JPEGとWebPの両方を用意し、JavaScriptで自動選択させることも可能です。

Q2:圧縮による画質低下が心配です。どうすればいい?

A:医療写真の場合、圧縮レベルを75~80に設定することで、ほぼ見分けのつかないレベルの品質を保つことができます。元のバージョンと、圧縮版を並べて比較して、許容できるレベルを確認してください。

Q3:大量の既存画像があります。すべて変換する必要がありますか?

A:優先度の高いページ(トップページ、診療科目ページ)から、段階的に進めることをお勧めします。すべてを一度にやる必要はありません。

10.まとめ

画像最適化は、ホームページの読み込み速度改善で、最も効果的で、かつ実装が簡単な施策です。

WebP形式への変換と適切な圧縮により、30~50%のファイルサイズ削減が可能であり、その結果、ページ全体の読み込み速度が20~33%改善されるのです。

画像最適化の要点

  1. WebP形式への変換で40~50%削減
  2. 圧縮レベルを用途に応じて設定(60~80推奨)
  3. 画像解像度を適切に設定
  4. レスポンシブ画像でモバイル対応
  5. TinyPNGなどのツール活用で効率化

新記事を書く必要もなく、デザインを変更する必要もなく、「画像をちょっと処理する」だけで、大きな効果が得られるのです。


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