多くの動物病院の院長先生は、「Googleアナリティクス」という言葉は聞いたことがあるものの、実際には見方が分からず、活用できていません。
しかし、Googleアナリティクスには、あなたのホームページの「真の顔」が映っているのです。訪問者がどのキーワードで来たのか、そのキーワードから何人が予約に至ったのか、どのページが最も効果的なのか—すべてが可視化されているのです。
本記事では、Googleアナリティクスの基本的な見方から、SEO対策に活かすべき分析ポイント、そして改善に向けたアクション方法まで、詳しく解説します。
目次
- Googleアナリティクスが示す本当の効果
- 必須の5つの指標
- Googleサーチコンソールとの連携
- 流入キーワドの分析方法
- ページ別パフォーマンス分析
- コンバージョン分析で予約につなげる
- 改善すべきページの優先順位付け
- 実例:分析に基づいた改善による成果
- まとめ
Googleアナリティクスが示す本当の効果

「アクセス数」と「集患数」は別物
多くの院長先生が陥る罠が「アクセス数の多さ=成功」という思い込みです。
しかし、月間1,000アクセスあっても、月間新患数が5名なら、投資対効果は極めて低いのです。重要なのは「質の高いアクセス」なのです。
Googleアナリティクスを正しく読むことで、「本当に効果のあるキーワード」「改善が必要なページ」「捨てるべき施策」が明確になります。
分析データの3つのレベル
| レベル | 内容 | 見方 |
| Level 1 | アクセス数、ユーザー数、セッション数 | 基本的な流量 |
| Level 2 | 流入元キーワード、ページ滞在時間、直帰率 | 実質的な効果 |
| Level 3 | コンバージョン分析、ユーザーフロー、目標達成 | 経営判断 |
多くの医院は「Level 1」しか見ていません。しかし、SEO対策の真価を理解するには、「Level 2」「Level 3」の分析が必須なのです。
必須の5つの指標

- 直帰率(Bounce Rate)
定義:訪問者が1ページだけ見てサイトを離脱した割合
業界標準:35~40%
動物病院の目安:
- 良い(優秀):30%以下
- 中程度:30~45%
- 要改善:45%以上
高い直帰率が示すこと
「患者様情報ページの直帰率が60%」
→ そのページの情報がユーザーのニーズと合致していない
→ 改善すべき対象ページ
- ページ滞在時間(Time on Page)
定義:訪問者が1ページに平均どれくらい時間を費やしたか
動物病院の目安:
- 良い:2分以上
- 中程度:1~2分
- 要改善:1分以下
改善アクション
「ブログ記事の平均滞在時間が30秒」
→ 記事の内容が不足している、または読みづらい
→ 1,500文字以上に拡張、見出しや図表を追加
- ページビュー/セッション(PV/セッション)
定義:1回の訪問で、平均何ページ見られたか
業界平均:2~3ページ
良好な状態:3ページ以上
「PV/セッションが1.5」
→ ユーザーは1ページ見たら帰ってしまっている
→ 内部リンク戦略を強化し、関連ページへの導線を改善
- コンバージョン率(Conversion Rate)
定義:訪問者のうち、目標行動(予約、問い合わせ)を達成した割合
業界平均:2~5%
動物病院の目安:
- 優秀:5%以上
- 良好:3~5%
- 要改善:3%以下
「月間1,000アクセス×3%コンバージョン率=30件の問い合わせ」
このうち、60%が予約に至れば、月間18名の新患獲得
- 離脱率(Exit Rate)
定義:特定のページから、サイト全体から退出した割合
注意:「お問い合わせ完了ページ」からの離脱率が高いのは正常(目標達成)
要注意な離脱ページ
「診療科目ページからの離脱率が80%」
→ 診療科目の説明が不足している
→ より詳しい説明、症例紹介、CTA追加で改善
Googleサーチコンソールとの連携
Googleアナリティクスだけでなく、Googleサーチコンソールも併用することで、より詳細な分析が可能になります。
Googleサーチコンソール固有の情報
| 指標 | 説明 | 活用方法 |
| 表示回数 | 検索結果に表示された回数 | 認知度を示す |
| クリック数 | 検索結果からのクリック数 | 実際のアクセス |
| 平均掲載順位 | 特定キーワードでの平均順位 | SEO効果を示す |
| クリック率(CTR) | 表示回数のうち、クリックされた率 | タイトル・説明文の質 |
例:分析アクション
「〇〇市 動物病院」
– 表示回数:1,000回
– クリック数:50件
– CTR:5%(平均3%より高い)→ タイトル・説明文が優秀
「〇〇市 皮膚科」
– 表示回数:500回
– クリック数:15件
– CTR:3%(平均以下)→ タイトル・説明文を改善すべき
流入キーワドの分析方法

Googleアナリティクス内での流入キーワド確認
Googleアナリティクス → 「集客」→ 「検索キーワード」(または「すべてのトラフィック」)
ここで、「どのキーワードからのアクセスが最も多いか」「そのキーワードからのコンバージョン率はいくつか」が確認できます。
キーワド別効果の判定基準
| 指標 | 判定 | アクション |
| 高流入+高コンバージョン率 | 優秀キーワード | さらに強化 |
| 高流入+低コンバージョン率 | 改善キーワード | ページ内容改善 |
| 低流入+高コンバージョン率 | ニッチキーワード | 記事追加 |
| 低流入+低コンバージョン率 | 撤退キーワード | リソース配分変更 |
実例
「渋谷 動物病院」
月間流入:150件、コンバージョン率:8%
→ 優秀キーワード(さらに投稿を増やす)
「犬 病気」
月間流入:500件、コンバージョン率:1%
→ 改善キーワード(ページ内容を改善)
「渋谷 犬 眼科」
月間流入:30件、コンバージョン率:15%
→ ニッチキーワード(記事を追加投稿)
ページ別パフォーマンス分析

最も効果的なページの特定
「ページ」レポートで、各ページのパフォーマンスを確認します。
分析対象指標
- ページビュー数(アクセス数)
- ユーザー数
- 平均滞在時間
- 直帰率
- 目標完了数(コンバージョン)
優秀なページの特徴
「ブログ記事:犬のアレルギー症状」
– ページビュー:月間150件
– 平均滞在時間:2分30秒
– 直帰率:35%
– 目標完了数:15件
このページは、多くのユーザーが長く滞在し、
実際に予約に至っている「優秀ページ」です。
→ 関連記事を追加、内部リンク強化すべき
コンバージョン分析で予約につなげる
目標設定の重要性
Googleアナリティクスで、「ページにアクセス」「フォーム送信」「メール送信完了」など、複数の「目標」を設定できます。
推奨される目標設定
- 問い合わせフォーム送信(最重要)
- 予約ページへのアクセス
- 電話クリック(スマートフォン表示)
- SNS URL クリック
コンバージョンフロー分析
「コンバージョン」→「ゴール」→「ゴールフロー」で、「どのページを経由して、ユーザーが目標に達したか」が可視化されます。
改善アクション
ゴールフロー分析結果:
トップページ → 診療科目ページ → 予約ページ(完了):60%
トップページ → 診療科目ページ(離脱):35%
→ 診療科目ページから予約ページへの導線が弱い
→ CTAボタンを追加、内部リンク強化
改善すべきページの優先順位付け
「インパクト×実現性」マトリックス
改善対象ページを選ぶ際、「改善したときの効果(インパクト)」と「改善の難易度(実現性)」で優先順位をつけます。
| 優先度 | インパクト | 実現性 | 例 |
| 最高 | 高い | 簡単 | メタタグ修正、CTA追加 |
| 高 | 高い | 普通 | ページリライト、内部リンク追加 |
| 中 | 低い | 簡単 | 画像最適化 |
| 低 | 低い | 難しい | 大規模リデザイン |
実例:分析に基づいた改善による成果

事例:Googleアナリティクス分析による改善
ある動物病院では、月間1,000アクセスあるのに、月間新患数は5名という状況でした。
分析内容
- 直帰率:平均55%(業界標準40%より高い)
- ページ滞在時間:平均45秒(要改善ライン以下)
- コンバージョン率:0.5%(3%以下、要改善)
- 「予約ページ」からの離脱率:85%(異常に高い)
実施した改善
- 直帰率が高いブログ記事5本をリライト(1,000文字→2,000文字以上)
- 関連ページへの内部リンク30個追加
- 予約ページのCTAボタンサイズを大きく、目立つ色に変更
- モバイル表示での予約フロー最適化
改善後(3ヶ月)
| 指標 | 改善前 | 改善後 | 変化 |
| 月間アクセス | 1,000件 | 1,100件 | +10% |
| 平均滞在時間 | 45秒 | 1分45秒 | 132%向上 |
| コンバージョン率 | 0.5% | 2.8% | 5.6倍 |
| 月間新患数 | 5名 | 30名 | 6倍 |
アクセス数はわずか10%の増加でしたが、分析に基づいた改善により、新患数は6倍に増加したのです。
まとめ
Googleアナリティクスは、「データに基づいたSEO対策」への入口です。
単に「アクセス数が多い」「ブログをたくさん投稿している」という定性的な判断ではなく、「このキーワードからは何件の予約が来ているのか」「このページの直帰率は改善の余地があるのか」という定量的な判断が可能になるのです。
分析・改善の要点
- 5つの主要指標を把握:直帰率、滞在時間、PV/セッション、コンバージョン率、離脱率
- 流入キーワド分析:高効果キーワドの強化、低効果キーワドの改善判定
- ページ別分析:優秀ページの拡張、問題ページの修正
- コンバージョン追跡:目標設定で、予約に至るユーザーフローを把握
- 月1回の定期分析:継続的な改善ループの構築
月1回、30分程度の分析を習慣化することで、確実に集患が加速するのです。
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