毎月のホームページアクセス解析ルーティン化ガイド データ分析で改善施策の優先順位を決める手法

「ホームページのアクセス数は増えているのに、来院につながらない」

このような悩みを聞く医院は多いのです。実は、この現象の原因は「データを見ていない」ことにあるのです。

多くの医院は、ホームページを作ったら「完成」だと思ってしまいます。しかし、ホームページは「作った瞬間から、改善の連続」なのです。その改善を「感覚」で進めるのか「データ」に基づいて進めるのかで、その後の成果は劇的に変わるのです。

毎月、Google Analyticsなどの解析ツールを見て「このページのアクセス数が少ない」「このページの離脱率が高い」という事実を認識し、改善するべき項目の優先順位を決める。この「ルーティン」を構築することが、ホームページを「集患の武器」に変えるのです。

本記事では、動物病院の経営者やマネジャーが「毎月、何をどのように確認し、何を改善するべきか」を判断するための、具体的な手法を解説します。

目次

  1. データ分析がホームページ改善の全てを決める
  2. 毎月確認すべき5つの指標
  3. 指標から「改善施策の優先順位」を導く方法
  4. ルーティン化:毎月のチェックリスト
  5. データに基づく改善例
  6. まとめ

1. データ分析がホームページ改善の全てを決める

なぜ「感覚」ではなく「データ」なのか

多くの医院の経営者は「ホームページのトップページを見ると、なんか見づらい気がする」という感覚で改善を判断してしまいます。しかし「感覚」は人によって異なり、実際のアクセスデータと一致しないことがほとんどなのです。

一方、Google Analyticsなどのツールが示すデータは「嘘をつきません」。そのデータに基づいて改善施策を決めれば「確実に成果に近づく」のです。

改善施策の優先順位の本質

ホームページの改善すべき点は、実は「無限に存在」します。デザイン、コンテンツ、メニュー構成、読込速度など、どれをとっても「改善の余地」があります。

しかし、医院のリソース(人員、予算、時間)は限られています。その限られたリソースを「最も効果的な改善」に集中させるために、データ分析による「優先順位の明確化」が必須なのです。

【改善施策の優先順位決定の原則】

 

最も多くのユーザーが見ているページ

+最も離脱率が高いページ

=最優先で改善すべきページ

 

例:

月間10,000ユーザーが訪問する

「診察内容ページ」で50%の離脱率

→このページの改善が最優先

 

一方、月間100ユーザーしか見ない

「スタッフ紹介ページ」で70%の離脱率

→このページは、後回しでいい

この原則を理解することが、効率的なホームページ改善の出発点です。

 

2. 毎月確認すべき5つの指標

指標1:ページビュー数(PV)と訪問ユーザー数

【毎月確認すべき項目】

 

今月のページビュー数(総アクセス数)

先月比での増減率

前年同月比での増減率

 

→ 傾向:

・増加傾向→マーケティングが効いている

・減少傾向→改善が必要

ページビュー数が「増えている」なら、その月に実施した施策(新規ブログ、SNS投稿など)が効果的だった可能性があります。逆に「減少」していれば「何かが機能していない」というシグナルなのです。

指標2:ランディングページ別の離脱率

最も重要な指標は「離脱率」です。ユーザーが最初に見るページから「どのくらいの率で、次のページに進むか」を示しています。

【高い離脱率のケース】

 

初診患者向けランディングページ:80%の離脱率

 

意味:

100人がそのページに到達

80人が、そこで医院サイトを去ってしまう

20人だけが、次のページ(予約ページなど)に進む

 

改善前:100人中20人が来院検討

改善後(離脱率を50%に低下させた場合):

100人中50人が来院検討

 

来院検討者が2.5倍に増加

離脱率の改善は「最も直接的に、来院数を増やす施策」なのです。

指標3:ページ別のアクセス数

全ページのアクセス数を確認し「どのページが最も見られているか」を把握します。

【ページ別アクセス数の例(ある医院の場合)】

 

1位:トップページ        5,000アクセス

2位:診察内容ページ      2,500アクセス

3位:初診ガイドページ    2,000アクセス

4位:アクセス情報        1,500アクセス

5位:スタッフ紹介        800アクセス

6位:よくある質問        600アクセス

7位:医療設備紹介        400アクセス

この場合「トップページから診察内容ページへの導線」が最も重要です。なぜなら、多くのユーザーがこの2ページを見ているからです。

指標4:訪問経路の分析

ユーザーがどのような経路で医院サイトに到達しているかを確認することで、有効なマーケティングチャネルが明確になります。

【訪問経路の分類】

 

  1. オーガニック検索(Google検索から):60%
  2. ダイレクト(URL直接入力):15%
  3. SNS(Facebook、Instagramから):12%
  4. 有料検索(Google広告から):10%
  5. その他:3%

この例から見えることは「Google検索が最も重要な訪問経路」であり「SEO対策に注力すべき」ということです。逆に「SNS は12%に留まっている」ので「SNS投稿を増やす前に、SEOを優先すべき」という判断ができるのです。

指標5:コンバージョン数と予約完了数

最終的には「ホームページからの予約件数」が重要です。アクセス数が多くても「予約に至らない」なら、意味がないのです。

【コンバージョン分析の例】

 

月間アクセス数:10,000

月間予約件数:50

 

コンバージョン率:0.5%

 

つまり、200人のアクセスで1件の予約

この「200分の1」という率を「100分の1」に改善できれば、予約件数は2倍になるのです。

 

3.指標から「改善施策の優先順位」を導く方法

ステップ1:問題点の特定

毎月のデータ分析から「どの部分に問題があるのか」を特定します。

【問題特定の例】

 

問題A:

トップページのアクセス数は多いが

離脱率が60%と高い

→ トップページから次のページへの導線が弱い

 

問題B:

診察内容ページへのアクセスは多いが

予約ページへの進行率が低い

→ 診察内容ページから予約ページへの導線が弱い

 

問題C:

Google検索のアクセスは多いが

オーガニック検索からのアクセスが

前月比で30%減少している

→ SEO順位が低下している可能性

ステップ2:改善による効果の推定

各問題に対して「改善した場合、どのくらいの効果が期待できるか」を計算します。

【改善効果の推定例】

 

問題A:トップページの離脱率を60%→50%に改善した場合

影響:月間5,000のトップページアクセスから

500人が次のページに進む確率が上昇

→ 月間100~150人の追加訪問

 

問題B:診察内容ページから予約ページへの進行率を

20%→30%に改善した場合

影響:月間2,500の診察内容ページアクセスから

250人が予約ページに進む

→ 月間10~15件の追加予約の可能性

 

問題C:Google検索のアクセスを前月比+20%に回復

影響:月間6,000のオーガニックアクセスから

1,200の追加アクセス

→ コンバージョン率が0.5%なら、月間6件の追加予約

これら3つの問題を改善した場合「月間20~30件の追加予約」が期待できると推定されます。

ステップ3:優先順位の決定

【優先順位決定の基準】

 

1位:問題B(診察内容→予約ページの導線改善)

理由:最も直接的に予約に結びつく

期待効果:月間10~15件の追加予約

 

2位:問題A(トップページの離脱率改善)

理由:最も多くのユーザーが見ている

期待効果:月間100~150人の追加訪問

 

3位:問題C(SEO対策でアクセス回復)

理由:改善に時間がかかる

期待効果:月間6件の追加予約

この優先順位に基づいて、限られたリソースを「最も効果的な施策」に集中させるのです。

 

4.ルーティン化:毎月のチェックリスト

毎月、同じ日に「同じ確認」をする

データ分析を「習慣化」することが重要です。毎月5日など「固定の日」に「固定の確認」を行うことで、月ごとの変動を追跡できるのです。

【毎月のチェックリスト】

 

□ 月間ページビュー数を確認

前月比・前年同月比での増減を記録

 

□ ランディングページ別の離脱率を確認

60%以上の高い離脱率がないか

 

□ ページ別アクセス数の上位10ページを確認

前月との順位変動を記録

 

□ 訪問経路の割合を確認

SEO、SNS、広告の効果を測定

 

□ 月間コンバージョン数(予約件数)を確認

コンバージョン率の計算

 

□ 改善が必要なページを3つ特定

 

□ 改善施策の優先順位を決定

 

□ 改善内容を実行チームに指示

 

□ 前月の改善施策の効果を測定

改善後のアクセス数・離脱率の変化を確認

ツールの導入

Google Analyticsは無料で、ほとんどのホームページに導入可能です。さらに「月単位の自動レポート」を設定することで、毎月、データをまとめたレポートが自動配信されるようにできます。

【推奨されるツール】

 

Google Analytics(無料)

└─ 基本的な指標を網羅

 

Google Search Console(無料)

└─ SEO関連のデータ確認

 

Googleデータスタジオ(無料)

└─ 複数のツールのデータを統合

わかりやすいダッシュボード作成

これらのツールを組み合わせることで「1ページで、全体像を把握」できるようになります。

 

5.データに基づく改善例

改善例1:トップページの「導線最適化」

【データが示した問題】

 

トップページ離脱率:65%(業界平均:50%)

トップページから診察内容ページへのクリック率:8%

 

【改善策】

 

  1. トップページのメニュー構成を見直し

診察内容へのリンクをより目立たせる

 

  1. ファーストビュー(最初に見える部分)に

「症状ごとの診察内容」ボタンを追加

 

  1. 「よくある質問」の回答内容を

最初のページで見えるようにする

 

【改善後の成果】

 

3ヶ月後:

離脱率:65%→52%に改善

トップページ→診察内容へのクリック率:8%→15%に改善

月間予約件数:50件→65件に増加

このように「データの問題点」を「具体的な改善策」に変え「成果の測定」に至るプロセスが、ホームページの継続的な向上を生み出すのです。

改善例2:ブログコンテンツの優先順位決定

【データが示したこと】

 

ブログアクセスランキング:

1位:「ワクチンの副反応と対応方法」2,000アクセス

2位:「新しく飼い主になった方へ」1,500アクセス

3位:「ペット保険の選び方」1,200アクセス

4位:「スタッフ日記」300アクセス

5位:「院内イベント報告」250アクセス

 

【改善策】

 

アクセス数が多いトップ3のテーマについて

さらに詳しいコンテンツを作成

 

一方、アクセス数が少ないテーマ

(スタッフ日記、イベント報告)は

ブログではなくSNS で発信するよう変更

データに基づくことで「何に投資すべきか」が明確になるのです。

 

6.まとめ

ホームページ改善は「継続的なPDCAサイクル」

毎月のデータ分析を通じて「問題の特定→改善策の決定→実装→効果測定」というサイクルを回すことが、ホームページを「集患の武器」に進化させるのです。

この サイクルを「一度きり」ではなく「毎月、ルーティン化」することで、段階的な改善が蓄積され、半年後、1年後には「大きな成果」に変わっているのです。

データに基づく改善は「低リスク・高効果」

「感覚」に基づく改善は「当たることもあれば、外れることもある」というハイリスク・ミドルリターンです。一方、データに基づく改善は「確実に効果の期待できる部分に集中投資する」というロー リスク・ハイリターンなのです。


本記事を参考に

株式会社リバティーフェローシップ・動物病院経営ラボでは、ホームページアクセス解析のルーティン化について、

Google Analyticsの導入と設定 月単位のレポート自動配信システム構築 Googleデータスタジオの設計・実装 毎月のデータ分析と改善提案 改善施策の優先順位決定サポート 改善実装後の効果測定 四半期ごとの分析レポート作成

などのサポートを提供いたします。

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