「ホームページのアクセス数は増えているのに、予約や問い合わせが少ない」 「せっかく訪問してくれた飼い主さんが、何もせずに離脱してしまう」
このような悩みを抱えている動物病院経営者は少なくありません。実は、ホームページの導線設計を改善するだけで、コンバージョン率(成約率)を大幅に向上させることが可能です。
本記事では、訪問者を確実に予約・問い合わせへと導くための導線設計の科学的手法を解説します。
コンバージョン率とは何か

コンバージョンの定義
コンバージョンとは、ホームページ訪問者が「目標とする行動」を起こすことです。
動物病院における主なコンバージョン
- オンライン予約の完了
- 問い合わせフォームの送信
- 電話での問い合わせ
- LINEの友だち追加
- 診療案内ページの閲覧(マイクロコンバージョン)
- 料金ページの閲覧(マイクロコンバージョン)
コンバージョン率の計算方法
コンバージョン率(%) = コンバージョン数 ÷ 訪問者数 × 100
例
- 月間訪問者:1,000人
- 予約・問い合わせ:20件
- コンバージョン率:2%
動物病院の平均的なコンバージョン率
一般的な動物病院のホームページのコンバージョン率は1〜3%程度です。
評価の目安
- 1%未満:要改善
- 1〜3%:平均的
- 3〜5%:良好
- 5%以上:非常に優秀
導線設計を最適化することで、3〜5%以上を目指すことが可能です。
コンバージョン率が低い原因
よくある問題点
- 予約・問い合わせボタンが見つけにくい
- ページの下部にしかない
- 目立たない色やデザイン
- スマートフォンで見づらい
- 情報が不足している
- 料金が分からず不安
- どんな診療ができるか不明確
- 獣医師の顔が見えない
- 次に何をすればいいか分からない
- 行動を促すメッセージがない
- 複数の選択肢がありすぎて迷う
- ページ間の移動がスムーズでない
- スマートフォン対応が不十分
- 文字が小さくて読めない
- ボタンが押しにくい
- 表示速度が遅い
- 信頼を得られていない
- 実績や資格が分からない
- 口コミ・評判が見当たらない
- 写真が少なく雰囲気が伝わらない
これらの問題を一つずつ解決することで、コンバージョン率は確実に向上します。
導線設計の基本原則
原則1:ゴールを明確にする

訪問者に「何をしてほしいか」を明確に定義します。
優先順位の例
- オンライン予約
- 電話での問い合わせ
- LINEでの相談
- 問い合わせフォーム送信
複数のゴールがある場合は、優先順位をつけて導線を設計します。
原則2:選択肢を絞る
人は選択肢が多すぎると決定できなくなります(決定麻痺)。
悪い例 「予約する」「問い合わせる」「電話する」「LINEする」「メールする」「資料請求する」
良い例 「今すぐ予約する」「電話で相談する」
主要な行動を2〜3つに絞りましょう。
原則3:3クリック以内にゴールへ到達
訪問者がゴールに到達するまでのクリック数は、できるだけ少なくします。
理想的な導線 トップページ → 予約ページ → 完了(2クリック)
原則4:常に次の行動を示す
各ページの終わりには、必ず次の行動を促す要素(CTA: Call To Action)を配置します。
例
- 「診療内容を詳しく見る」
- 「料金を確認する」
- 「今すぐ予約する」
原則5:モバイルファーストで設計する
動物病院のホームページ訪問者の70〜80%はスマートフォンユーザーです。スマートフォンでの使いやすさを最優先に設計します。
予約・問い合わせボタンの最適化
ボタンの配置場所
必須の配置箇所
- ヘッダー(固定):すべてのページの上部に常に表示
- ファーストビュー:スクロールせずに見える範囲
- 各ページの最後:情報を読んだ後のアクション
- フッター:ページ下部の共通エリア
スマートフォン専用
- 画面下部に固定の予約バー
- タップしやすい大きさ(最低44×44ピクセル)
ボタンのデザイン
色の選択
- 目立つ色を使う(背景と明確に区別できる色)
- 緑:安心感、癒し(動物病院に適している)
- オレンジ:親しみやすさ、行動喚起
- 青:信頼感、安定感
サイズ
- 十分に大きく(スマホで親指で押しやすい)
- 他の要素より目立つサイズ
文言 悪い例:「こちら」「クリック」「詳細」 良い例:「今すぐ予約する」「無料で相談する」「電話で問い合わせる」
具体的な行動と、得られる価値を示します。
A/Bテストで効果検証
2つのパターンを用意し、どちらが効果的か測定します。
テスト例
- パターンA:「予約する」(緑色)
- パターンB:「今すぐ予約する」(オレンジ色)
数週間運用し、クリック率の高い方を採用します。
トップページの導線設計
ファーストビューで伝えるべきこと
ページを開いて最初の3秒で、訪問者は「このサイトを見るか離脱するか」を判断します。
ファーストビューに必要な要素
- キャッチコピー 病院の特徴や強みを一言で表現
例: 「夜8時まで診療、お仕事帰りも安心 | 〇〇動物病院」 「皮膚科・歯科の専門診療に強い | 〇〇市の動物病院」
- ビジュアル
- 清潔で明るい院内の写真
- 獣医師とペットの温かい触れ合いの写真
- 笑顔のスタッフ
- 予約ボタン 目立つ位置に配置
- 信頼の証
- 開業〇年の実績
- 年間〇件の診療
- 〇〇認定医在籍
- 基本情報(一目で分かるように)
- 診療時間
- 住所・アクセス
- 電話番号
トップページからの主要な導線
導線1:予約・問い合わせへの直接導線 「今すぐ予約」ボタン → 予約ページ
導線2:情報収集後の導線 診療内容を見る → 料金を確認 → 獣医師紹介を見る → 予約
導線3:緊急時の導線 「今すぐ診てほしい」→ 電話番号(クリックで発信)
複数の導線を用意し、訪問者の状況に応じて選べるようにします。
診療案内ページの導線設計

診療案内ページの役割
訪問者は「この病院で自分のペットを診てもらえるか」を確認するために診療案内を見ます。
構成の最適化
- 診療科目の一覧 対応可能な診療を網羅的に記載
- 各診療科目の詳細
- どんな症状に対応できるか
- どんな治療ができるか
- 使用する機器や技術
- 症例紹介(許可を得て) 実際の治療例を紹介することで、具体的なイメージが湧きます。
- ページ末尾のCTA 「この症状でお困りの方は、お気軽にご相談ください」 → 予約ボタン
症状別ページへの導線
診療案内ページから、症状別の詳細ページへ誘導します。
例: 「犬の皮膚病について詳しくはこちら」 → 犬の皮膚病専門ページ → 予約ボタン
専門性を示しつつ、自然に予約へ導きます。
料金ページの導線設計
料金不明は離脱の大きな原因
「料金が分からない」ことは、飼い主さんの大きな不安要素です。
記載すべき料金情報
- 初診料・再診料 明確な金額を提示
- 一般的な処置の料金
- ワクチン接種
- 健康診断
- 去勢・避妊手術
- 血液検査
- 料金の幅がある場合 「〇〇円〜△△円」と幅を示す なぜ幅があるのかを説明
- 保険対応
- アニコム損保
- アイペット損保
- その他対応保険
料金ページからの導線
料金を確認した後、次のステップを明示します。
CTA例 「料金についてのご質問は、お気軽にお問い合わせください」 → 問い合わせボタン
「まずは無料相談から」 → 予約ボタン(初回相談無料の場合)
アクセス・診療時間ページの導線設計
来院前の最終確認ページ
アクセスページは、来院を決めた飼い主さんが最後に確認するページです。
必要な情報
- 診療時間(分かりやすく表示)
- 曜日ごとの診療時間を表形式で
- 休診日を明記
- 受付終了時間も記載
- アクセス方法(詳細に)
- 最寄り駅からの徒歩ルート(写真付き)
- 車でのアクセス(目印となる建物)
- 駐車場の有無と台数
- バスでのアクセス
- Googleマップの埋め込み スマートフォンのナビアプリと連携
- 外観写真 「この建物を目指してください」
アクセスページからのCTA
「場所を確認したら、今すぐご予約ください」 → 予約ボタン
「お電話でのご予約・お問い合わせはこちら」 → 電話番号(クリックで発信)
予約フォームの最適化
フォームの離脱を防ぐ
予約フォームに到達したのに、入力を途中で諦めて離脱するケースは非常に多いです。
入力項目の最小化
必須項目のみにする
- 飼い主さんの名前
- 電話番号
- ペットの種類(犬・猫など)
- 希望日時
- 相談内容(簡潔に)
不要な項目の例
- 住所(初診時にカルテで記入すれば良い)
- メールアドレス(必須にしない)
- 詳細な病歴(フォームでは不要)
入力項目が多いほど、離脱率が上がります。
入力しやすい設計
- プレースホルダーで入力例を示す 「例:山田太郎」「例:03-1234-5678」
- エラーメッセージを分かりやすく 「電話番号は半角数字で入力してください」
- スマートフォンで入力しやすく
- 電話番号入力欄ではテンキーを表示
- 日時選択はカレンダーUIを使用
- 入力途中での離脱を防ぐ 「あと少しで完了です!」と進捗を示す
確認画面は不要?
確認画面を挟むと、さらに1クリック必要になります。
推奨 確認画面を省略し、「送信」ボタン1回で完了 送信後に「予約を受け付けました」と確認メールを送る
ただし、誤送信のリスクもあるため、病院の方針に応じて判断します。
電話問い合わせの導線設計
電話は最も確実なコンバージョン

特に緊急性の高い症状の場合、飼い主さんは電話で問い合わせます。
電話番号の配置
必須の配置箇所
- ヘッダー(すべてのページの上部)
- ファーストビュー
- フッター
- スマートフォン画面下部の固定バー
クリックトゥコール機能
スマートフォンでは、電話番号をタップするだけで発信できるようにします。
<a href=”tel:03-1234-5678″>
<img src=”phone-icon.png”> 03-1234-5678
</a>
電話受付時間の明記
「電話受付:平日9:00〜19:00」
受付時間外の場合の対応も示します。
「夜間・休日はオンライン予約をご利用ください」 → 予約フォームへのリンク
LINE連携の導線設計
LINEは飼い主さんにとって身近なツール
特に若年層の飼い主さんは、電話よりLINEでの問い合わせを好みます。
LINE公式アカウント・LINEミニアプリの活用
できること
- 予約受付
- 診療時間・休診日の確認
- 簡単な相談
- リマインド通知
友だち追加の導線
QRコードの配置
- ホームページのすべてのページ
- 院内ポスター
- 診察券
友だち追加ボタン ホームページに「LINE友だち追加」ボタンを設置
メリットの明示 「LINE友だち追加で、24時間予約受付可能!」 「待ち時間短縮!LINE予約が便利です」
信頼構築要素の配置
訪問者は「この病院を信頼できるか」を判断している
コンバージョンには、信頼の構築が不可欠です。
配置すべき信頼要素
- 獣医師・スタッフの顔写真 「誰が診てくれるのか」が分かる
- 資格・認定
- 〇〇認定医
- 〇〇専門医
- 学会所属
- 実績
- 開業〇年
- 年間診療件数〇件
- 手術実績〇件
- 口コミ・評価
- Googleの口コミ評価
- EPARKペットライフの評価
- 患者さんの声(許可を得て)
- メディア掲載
- 雑誌掲載
- テレビ出演
- 新聞記事
- 設備・機器
- CT・MRI
- 超音波診断装置
- 最新の手術機器
これらの要素を適切に配置することで、訪問者の不安を解消し、コンバージョン率が向上します。
ヒートマップ分析で改善ポイントを発見
ヒートマップとは
訪問者がページのどこをクリックしているか、どこまでスクロールしているかを可視化するツールです。
主なヒートマップツール
- Microsoft Clarity(無料)
- Mouseflow
- Hotjar
分析のポイント
クリックが少ない予約ボタン → 配置場所やデザインを変更
読まれていないコンテンツ → 削除または上部へ移動
途中で離脱されているページ → コンテンツの見直し、CTAの追加
データに基づいて改善することで、確実にコンバージョン率が向上します。
スピードの最適化

表示速度が遅いとコンバージョン率は下がる
ページの表示に3秒以上かかると、約半数の訪問者が離脱します。
速度改善の方法
- 画像の最適化
- 適切なサイズにリサイズ
- 圧縮ツールで軽量化
- WebP形式の使用
- 不要なスクリプトの削除
- 使っていないプラグインの削除
- 外部スクリプトの最小化
- キャッシュの活用 サーバー側でキャッシュを有効化
- CDNの利用 画像や静的ファイルをCDNで配信
Googleの「PageSpeed Insights」で自院のホームページをチェックし、改善点を確認しましょう。
定期的な改善サイクル
一度作って終わりではない
ホームページは継続的に改善することで、コンバージョン率が向上します。
月次でチェックすべき項目
- コンバージョン数とコンバージョン率 Google Analyticsで確認
- 各ページの訪問数 どのページが見られているか
- 離脱率の高いページ 改善の優先順位をつける
- 予約フォームの途中離脱率 フォームの最適化
改善のPDCAサイクル
Plan(計画) 仮説を立てる(「予約ボタンを大きくすれば、クリック率が上がるのでは?」)
Do(実行) 変更を実施
Check(評価) 数週間後にデータを確認
Action(改善) 効果があれば継続、なければ別の施策を試す
小さな改善の積み重ねが、大きな成果につながります。
よくある質問と回答
Q1. コンバージョン率を上げるには、どこから手をつけるべきですか?
まずは予約・問い合わせボタンの最適化(配置、デザイン、文言)から始めましょう。最も効果が出やすい施策です。
Q2. 予約フォームの入力項目は、どこまで減らせますか?
最低限、名前・電話番号・希望日時・相談内容があれば予約は成立します。詳細はカルテで記入すれば良いので、フォームは簡潔にしましょう。
Q3. 料金を掲載すると、安い病院に流れませんか?
料金を掲載しないと、不安で問い合わせすらできない飼い主さんが多いです。適正価格であれば、料金を明示する方が信頼につながります。
Q4. スマートフォン対応は本当に重要ですか?
はい、訪問者の7〜8割はスマートフォンです。スマホで使いにくいサイトは、それだけでコンバージョン率が大幅に下がります。
Q5. 改善の効果はどのくらいで出ますか?
施策にもよりますが、1〜3ヶ月で効果が見え始めます。焦らず、継続的に改善を重ねることが重要です。
まとめ
動物病院のホームページにおいて、コンバージョン率の向上は集患に直結します。訪問者を確実に予約・問い合わせへと導く導線設計が、成功の鍵です。
コンバージョン率を2倍にするポイント
- 予約・問い合わせボタンを最適化する
- スマートフォンでの使いやすさを最優先する
- 料金やアクセスなど、必要な情報を明示する
- 予約フォームの入力項目を最小化する
- 信頼構築要素を適切に配置する
- ページ表示速度を改善する
- データに基づいて継続的に改善する
まずは現在のコンバージョン率を測定し、予約ボタンの最適化から始めてみましょう。小さな改善の積み重ねが、確実に成果へとつながります。
導線設計の改善やコンバージョン率向上にお困りの際は、動物病院専門のホームページ制作・コンサルティングサービスをご活用ください。データ分析から具体的な改善施策まで、実践的なサポートを提供いたします。
【筆者紹介】 株式会社リバティーフェローシップ(動物病院経営ラボ) 代表:小澤直樹 動物病院・歯科医院専門のホームページ制作・経営コンサルティング会社。全国300以上の医療機関の集患支援実績を持ち、コンバージョン率向上を重視した実践的なWeb戦略をサポートしています。
