ホームページのSEO対策は成果が出るまでに3〜6ヶ月かかります。しかし、リスティング広告なら今日設定して明日には新規患者を獲得できる即効性があります。
特に開業直後や、急いで患者を増やしたい動物病院にとって、リスティング広告は強力な集患ツールです。ただし、闇雲に広告を出しても費用対効果は上がりません。
本記事では、月3〜5万円の少額予算でも最大の効果を出すための、動物病院に特化したリスティング広告運用ノウハウを解説します。
目次
- リスティング広告とは何か
- なぜ動物病院にリスティング広告が効果的なのか
- 予算設定の基本と費用対効果の考え方
- 動物病院が狙うべき5つのキーワードタイプ
- 地域キーワードの最適な組み合わせ方
- 除外キーワード設定で無駄なクリックを防ぐ
- 広告文の作り方と差別化ポイント
- ランディングページ最適化の重要性
- コンバージョン測定と改善のサイクル
- よくある失敗パターンと対策
1.リスティング広告とは何か
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!の検索結果ページに表示される広告のことです。ユーザーが特定のキーワードで検索した際に、検索結果の上部や下部に「広告」と表示されるテキスト広告がこれにあたります。
例えば「渋谷区 動物病院」と検索すると、自然検索結果の上に広告枠が表示され、そこに出稿している動物病院の広告が表示される仕組みです。
リスティング広告の基本的な仕組み
広告はクリック課金制(PPC: Pay Per Click)で、広告が表示されるだけでは料金は発生せず、ユーザーがクリックして初めて費用が発生します。1クリックあたりの単価は、キーワードの競合状況や品質スコアによって変動します。
Google広告とYahoo!広告
国内の検索広告市場は、Google広告が約7割、Yahoo!広告が約3割のシェアです。予算が限られている場合は、まずGoogle広告から始めることをおすすめします。慣れてきたら、Yahoo!広告も追加で運用すると良いでしょう。
2.なぜ動物病院にリスティング広告が効果的なのか
検索意図が明確な顧客にリーチできる
「動物病院 夜間」「犬 嘔吐 病院」と検索している人は、まさに今、動物病院を探している状態です。このような明確な検索意図を持つユーザーに広告を表示できるため、コンバージョン率が高くなります。
地域を絞り込める
リスティング広告では、広告を表示する地域を細かく設定できます。渋谷区、恵比寿駅から半径3km以内、といった設定が可能なため、実際に来院可能な範囲の人にだけ広告を出せます。
無駄な広告費を抑えながら、ターゲットを絞った効率的な運用ができるのです。
即効性がある
SEO対策は効果が出るまでに数ヶ月かかりますが、リスティング広告は設定した瞬間から広告が表示され始めます。開業直後や、急いで患者を増やしたい時期には、この即効性が非常に有効です。
少額から始められる
月額3万円、1日1,000円といった少額予算でも始められます。効果を見ながら予算を調整できるため、リスクを抑えて運用できます。
データが蓄積され改善できる
どのキーワードで何回クリックされたか、どの広告文の反応が良かったか、といったデータが詳細に記録されます。このデータを分析して継続的に改善することで、費用対効果がどんどん向上します。
3.予算設定の基本と費用対効果の考え方

月額予算の目安
動物病院のリスティング広告予算の目安は、月額3〜10万円程度です。開業直後や認知度を急いで上げたい場合は10〜20万円、維持期や補助的に使う場合は3〜5万円が一般的です。
1日の予算設定
月額予算を決めたら、それを30で割って1日の予算を設定します。月額3万円なら1日1,000円、月額6万円なら1日2,000円です。
Google広告では、1日の予算を設定すると、その範囲内で自動的に広告配信が調整されます。予算を超えて課金されることはありません。
クリック単価(CPC)の相場
動物病院関連のキーワードのクリック単価は、キーワードによって大きく異なります。
地域名を含む一般的なキーワード(例:「渋谷区 動物病院」)は100〜300円程度です。緊急性の高いキーワード(例:「動物病院 夜間」)は200〜500円程度になることもあります。症状系キーワード(例:「犬 下痢 病院」)は50〜200円程度と比較的安い傾向があります。
費用対効果の計算
リスティング広告の効果を測るには、以下の指標を追跡します。
・クリック数:広告が何回クリックされたか
・クリック率(CTR):広告表示回数に対するクリックの割合
・コンバージョン数:予約や問い合わせなど、目標行動の達成数
・コンバージョン率(CVR):クリック数に対するコンバージョンの割合
・顧客獲得単価(CPA):1件のコンバージョンを獲得するのにかかった費用
例えば月額3万円で10件の予約が取れれば、顧客獲得単価は3,000円です。新規患者一人の生涯価値が10万円以上あることを考えれば、十分に採算が合います。
4.動物病院が狙うべき5つのキーワードタイプ
タイプ1:地域名+動物病院
最も基本的で重要なキーワードです。「渋谷区 動物病院」「恵比寿 動物病院」「〇〇駅 動物病院」といった形で、地域名と動物病院を組み合わせます。
このキーワードで検索する人は、その地域で病院を探している明確な意図があるため、コンバージョン率が高くなります。競合も多いため、クリック単価はやや高めですが、確実に押さえるべきキーワードです。
タイプ2:地域名+特徴+動物病院
地域名に加えて、病院の特徴や提供サービスを組み合わせます。「渋谷区 夜間 動物病院」「恵比寿 日曜診療 動物病院」「〇〇市 駐車場 動物病院」といった形です。
自院の強みと合致するキーワードを選ぶことで、ニーズに合った患者さんを効率的に集められます。競合が少なく、クリック単価も比較的安い傾向があります。
タイプ3:症状+病院
ペットの症状で困っている飼い主さんが検索するキーワードです。「犬 下痢 病院」「猫 嘔吐 病院 近く」「犬 足 引きずる 病院」といった形です。
緊急性が高く、すぐに来院する可能性が高いキーワードです。ホームページに症状別の解説ページがあれば、広告のランディングページとして活用できます。
タイプ4:診療内容+地域
特定の診療内容を求めている人向けのキーワードです。「去勢手術 渋谷区」「歯石除去 動物病院 恵比寿」「犬 ワクチン 〇〇市」といった形です。
専門性の高い診療や、特定の処置を提供していることをアピールできます。検索ボリュームは少ないですが、ニーズが明確なため成約率が高いです。
タイプ5:動物種+地域+動物病院
犬猫以外のペットを飼っている人向けのキーワードです。「ウサギ 診てくれる 動物病院 渋谷区」「フェレット 病院 〇〇市」「鳥 動物病院 〇〇駅」といった形です。
対応できる病院が限られるため、競合が少なくクリック単価も安くなります。エキゾチックアニマルに対応している病院は、積極的に狙うべきキーワードです。
5.地域キーワードの最適な組み合わせ方
商圏に合わせた地域設定
リスティング広告では、広告を表示する地域を細かく設定できます。動物病院の商圏は半径3km程度なので、自院を中心に3〜5km圏内に地域を絞りましょう。
渋谷区の病院なら、渋谷区全域に加えて、隣接する目黒区、世田谷区、新宿区の一部も含めるといった設定が可能です。
複数の地域名パターンを網羅
同じ地域でも、人によって検索する地域名が異なります。「渋谷区」「渋谷」、「恵比寿」「恵比寿駅」「JR恵比寿駅」といった表記の揺れをすべてカバーするため、複数のキーワードパターンを登録します。
また、住所の表記と駅名の両方を網羅することも重要です。「渋谷区 動物病院」と「恵比寿駅 動物病院」は異なる検索クエリとして扱われます。
競合が少ない地域キーワードを狙う
「渋谷区 動物病院」は競合が多いですが、より細かい町名「恵比寿南 動物病院」「恵比寿西 動物病院」といったキーワードは競合が少なく、クリック単価が安くなります。
検索ボリュームは少ないですが、超地元の人が検索するため、来院率が高い傾向があります。
6.除外キーワード設定で無駄なクリックを防ぐ

除外キーワードとは、特定の単語を含む検索には広告を表示しない設定です。これを適切に設定することで、無駄なクリックを大幅に減らせます。
動物病院が除外すべきキーワード
「求人」「採用」「バイト」「転職」といった雇用関連のキーワードは、病院を探している人ではなく仕事を探している人の検索です。確実に除外しましょう。
「無料」「安い」「格安」といった価格重視のキーワードも、適正価格で診療している病院には不向きです。価格競争に巻き込まれないよう除外を検討します。
「口コミ」「評判」「ランキング」といった情報収集段階のキーワードも、すぐに来院につながりにくいため、予算が限られている場合は除外します。
「写真」「画像」「動画」といったメディア検索も、病院を探す意図ではないため除外します。
除外キーワードの追加方法
Google広告の管理画面で、キーワードの検索クエリレポートを定期的に確認します。実際にどんな検索語句で広告が表示されたかが分かるので、不要なものを見つけたら除外キーワードに追加していきます。
最初は月に1回、慣れてきたら2週間に1回程度の頻度でチェックし、継続的に最適化しましょう。
7.広告文の作り方と差別化ポイント
基本的な広告文の構成
Google広告の検索広告は、見出し(最大3つ)、説明文(最大2つ)、表示URL、最終リンク先URLで構成されます。
見出し1には病院名や地域名を入れます。例:「〇〇動物病院【渋谷区恵比寿】」
見出し2には強みや特徴を入れます。例:「夜20時まで診療・土日祝も対応」
見出し3には行動喚起を入れます。例:「オンライン予約受付中」
説明文1には詳細な特徴を入れます。例:「恵比寿駅徒歩5分。駐車場3台完備。犬猫の一般診療から専門診療まで幅広く対応。経験豊富な獣医師が丁寧に診察します。」
説明文2には具体的な情報を入れます。例:「初診の方も歓迎。予約優先制で待ち時間短縮。夜間・休日診療対応。お気軽にご相談ください。」
差別化ポイントの訴求
競合との差別化要素を明確に広告文に含めます。
夜間診療、土日祝診療、駐車場完備、駅から徒歩〇分、専門診療(皮膚科、歯科など)、エキゾチックアニマル対応、予約優先制、クレジットカード対応、ペット保険対応など、自院の強みを具体的に記載しましょう。
数字を活用する
「開業15年の実績」「年間5,000件の診療実績」「駐車場3台完備」といった具体的な数字を入れると、信頼性が増します。
広告表示オプションの活用
電話番号表示オプション(クリックで直接電話がかかる)、サイトリンク表示オプション(診療案内、アクセス、料金など複数ページへのリンク)、コールアウト表示オプション(「駐車場完備」「夜間対応」などの短いテキスト)を設定すると、広告の表示面積が増え、クリック率が向上します。
8.ランディングページ最適化の重要性
リスティング広告で重要なのは、広告をクリックした後に表示されるランディングページです。どんなに良い広告でも、ランディングページが悪ければコンバージョンにつながりません。
広告とランディングページの一致
「夜間診療 動物病院」の広告をクリックしたのに、トップページに飛ばされて夜間診療の情報が見つからない、というのは最悪です。
広告のキーワードや広告文と、ランディングページの内容を一致させることが重要です。夜間診療の広告なら、夜間診療の詳細ページに直接リンクさせます。
ファーストビューに必要情報を配置
ランディングページを開いて最初に見える範囲(ファーストビュー)に、重要な情報をすべて配置します。
病院名、診療時間、電話番号、予約ボタン、キーとなる特徴(夜間対応、駐車場完備など)は、スクロールせずに見える位置に配置しましょう。
電話ボタンとオンライン予約の明確な配置
スマートフォンでアクセスする人が多いため、タップで発信できる電話ボタンを目立つ位置に配置します。画面上部と下部の固定バー、両方に配置すると効果的です。
オンライン予約ができる場合は、予約フォームへのリンクも同様に目立たせます。
ページの表示速度を最適化
ページの読み込みが遅いと、ユーザーは待たずに離脱してしまいます。画像の圧縮、不要なスクリプトの削除など、表示速度を改善しましょう。
Googleの「PageSpeed Insights」でチェックし、スコアが80以上になるよう最適化します。
9.コンバージョン測定と改善のサイクル
コンバージョンの設定
リスティング広告の効果を測定するには、コンバージョン(成果)を正しく設定する必要があります。
動物病院の主なコンバージョンは、オンライン予約完了、問い合わせフォーム送信、電話番号のクリック(スマートフォン)、診療案内ページの閲覧(マイクロコンバージョン)などです。
Google広告のコンバージョントラッキングタグをホームページに設置することで、これらの行動を自動的に計測できます。技術的に難しい場合は、制作会社に依頼しましょう。
広告の品質スコアを改善

Google広告には「品質スコア」という指標があり、広告の関連性、ランディングページの品質、クリック率などで評価されます。品質スコアが高いほど、同じ入札単価でも上位に表示されやすくなります。
品質スコアを改善するには、広告文とキーワードの関連性を高める、ランディングページの内容を充実させる、クリック率を改善する、といった施策が有効です。
A/Bテストで広告文を最適化
複数の広告文を用意し、どちらがクリック率やコンバージョン率が高いか比較します。例えば「夜間診療対応」を強調するバージョンと「駅から徒歩5分」を強調するバージョンを両方出稿し、効果の高い方を残します。
継続的にテストと改善を繰り返すことで、広告の精度が上がります。
月次レポートで効果を確認
月に1回、以下の指標をまとめたレポートを作成します。
広告費、表示回数、クリック数、クリック率、平均クリック単価、コンバージョン数、コンバージョン率、顧客獲得単価、費用対効果(ROI)を確認し、前月との比較や目標との差を分析しましょう。
効果が低いキーワードは停止し、効果の高いキーワードに予算を集中させるといった調整を行います。
10.よくある失敗パターンと対策
失敗1:広範囲すぎる地域設定
「東京都全域」や「関東全域」といった広範囲の地域設定をすると、実際には来院できない遠方からのクリックが増え、予算が無駄になります。
対策として、実際に来院可能な範囲(半径3〜5km)に地域を絞りましょう。
失敗2:除外キーワードの設定不足
除外キーワードを設定しないと、「動物病院 求人」「動物病院 写真」といった不要な検索でもクリックされ、予算を消費します。
対策として、定期的に検索クエリレポートを確認し、不要なキーワードを除外設定に追加します。
失敗3:ランディングページがトップページのまま
すべての広告をトップページに飛ばすと、訪問者は目的の情報を探す手間がかかり、離脱率が上がります。
対策として、キーワードに応じた専用ページ(夜間診療ページ、症状別ページなど)をランディングページに設定します。
失敗4:スマートフォン対応が不十分
リスティング広告経由の訪問者の7〜8割はスマートフォンです。スマホで見づらいページでは、すぐに離脱されます。
対策として、スマートフォンでの表示を最適化し、電話ボタンを目立たせ、入力フォームを簡潔にします。
失敗5:効果測定をしていない
広告を出しっぱなしで、効果を測定していないケースがあります。これでは改善のしようがありません。
対策として、コンバージョントラッキングを必ず設定し、月次で効果を確認して改善するサイクルを回します。
よくある質問
自分で運用できますか?それとも代理店に依頼すべきですか?
基本的な運用は自分でも可能です。Google広告のヘルプや無料の学習教材も充実しています。ただし、最適化には専門知識と時間が必要なため、予算が月10万円以上なら代理店への依頼も検討する価値があります。
どのくらいの期間で効果が出ますか?
設定した瞬間から広告は表示され始めますが、最適化には1〜3ヶ月かかります。最初の1ヶ月はテスト期間と考え、データを集めて改善していきましょう。
競合が多くて上位表示できません。どうすればいいですか?
ビッグキーワードで競合が多い場合は、より具体的なロングテールキーワード(例:「犬 皮膚病 病院 渋谷区」)や、自院の強みに合ったニッチなキーワードを狙いましょう。
夜間や休日だけ広告を出すことはできますか?
可能です。広告の配信スケジュールを設定することで、特定の曜日や時間帯だけ広告を表示できます。夜間診療を強みにしている場合、夜間と週末に広告を集中させるのも有効です。
まとめ
リスティング広告は、動物病院が少額予算で即効性のある集患を実現できる強力なツールです。適切なキーワード選定、無駄を省く除外設定、魅力的な広告文、最適化されたランディングページ、そして継続的な改善が成功の鍵です。
成功のポイントは、地域と特徴を組み合わせたキーワードを狙うこと、除外キーワードで無駄を削減すること、広告とランディングページを一致させること、コンバージョンを正しく測定すること、そしてデータに基づいて改善し続けることです。
まずは月額3万円、1日1,000円の予算で、基本的な地域キーワード5〜10個から始めてみましょう。データを見ながら改善を重ねることで、費用対効果は確実に向上します。
リスティング広告の設定や運用にお困りの際は、動物病院専門のホームページ制作・コンサルティングサービスをご活用ください。広告アカウントの設定から、キーワード選定、ランディングページ最適化まで、実践的なサポートを提供いたします。
【筆者紹介】 株式会社リバティーフェローシップ(動物病院経営ラボ) 代表:小澤直樹 動物病院・歯科医院専門のホームページ制作・経営コンサルティング会社。全国300以上の医療機関の集患支援実績を持ち、リスティング広告運用を含む総合的なWebマーケティング戦略をサポートしています。
