ペット関連ロングテールキーワードの発掘と活用法

「犬 痒い」「猫 食べない」「鳥 鳴かない」—これらは、飼い主様が日々Googleに打ち込む、切実な悩みを表すキーワードです。

これらは、以前解説した「複合キーワード」(※ahhpblog2_54「2_動物病院のキーワード選定で失敗しないポイント5つ.docx」のブログリンク貼ってあげてください)よりもさらに詳細な「ロングテールキーワード」と呼ばれるキーワードです。ロングテールキーワードは、月間検索ボリュームが数十~数百件と小さいものの、飼い主様の「今、この瞬間の困り事」を表しており、来院確度が極めて高いのです。

実は、全体の検索ボリュームの約70%は、このロングテールキーワードで占められています。つまり、ロングテールキーワードを制することが、集患を加速させる最大のチャンスなのです。

本記事では、ロングテールキーワードの特性から、発掘方法、そしてそれを活用したブログ戦略まで、具体的に詳しく解説します。

目次

  1. ロングテールキーワードとは何か
  2. ロングテールキーワードの重要性
  3. ロングテールキーワードの発掘方法
  4. 質の高いロングテールキーワードの見分け方
  5. ロングテールキーワードを活かしたブログ記事作成
  6. ロングテールキーワード戦略による集患のフロー
  7. 実例:ロングテール記事による集患増加
  8. よくある失敗と改善方法
  9. まとめ

 

1.ロングテールキーワードとは何か

キーワードの分類と特性

Webマーケティング業界では、キーワードを3つのグループに分類します。

キーワードタイプ 特徴
ヘッドキーワード 1~2単語。検索ボリューム多(1,000件以上/月)。競争度高い 「犬」「病院」「皮膚病」
ミドルキーワード 3単語。ボリューム中(100~1,000件/月)。競争度中 「渋谷 動物病院」「犬 皮膚病 治療」
ロングテールキーワード 4単語以上。ボリューム小(50~200件/月)。競争度低い 「犬 痒い 病院」「渋谷 犬 皮膚病 症状」

ロングテールキーワードの最大の特徴は、「ユーザーの検索意図が極めて明確」ということです。例えば、「犬 痒い 原因 夜間」と検索する飼い主様は、「今夜、犬が痒がっているので、原因を知りたい」という、具体的で切実なニーズを持っているのです。

「ロングテール」という名称の由来

この3つのキーワードタイプを横軸を検索ボリューム、縦軸を件数とした「分布グラフ」にすると、ヘッドキーワードは「頭部」として高いボリュームを占め、ロングテールキーワードは「尾部」として多数の低ボリュームキーワードが分布します。

この図形が、動物の尾(テール)のような形をしていることから、「ロングテール(長い尾)キーワード」と呼ばれるようになったのです。

検索ボリューム分布図

 

件数

│     ┌─ ヘッド

│    ╱│

│   ╱ │ミドル

│  ╱  │

│ ╱   │

│╱────┼────────────────────…

└──────────────────────────…

ロングテール

2.ロングテールキーワードの重要性

検索ボリューム全体の70%がロングテール

マーケティング調査データによると、全体の検索クエリの約70%は、ロングテールキーワード(4単語以上)で占められています。

キーワードタイプ 全体割合 月間ボリューム合計 上位表示難易度
ヘッドキーワード 10% 大きい 極めて高い
ミドルキーワード 20% 中程度 中程度
ロングテールキーワード 70% 小さいが積み重なると大きい 低い

つまり、ロングテールキーワードに対策しなければ、全体検索ボリュームの70%の機会を失うことになるのです。

来院確度の圧倒的な高さ

ロングテールキーワードで検索するユーザーは、「今、この瞬間に困っている」飼い主様です。

ユーザーの心理段階と来院確度

検索キーワード ユーザーの段階 来院確度
「犬」 単なる興味・情報収集 1%以下
「犬 皮膚病」 課題認識段階 5~10%
「渋谷 犬 皮膚科」 医院探索段階 30~50%
「渋谷 犬 皮膚科 夜間 今すぐ」 来院直前段階 70%以上

ロングテールキーワード(最後の例)で検索するユーザーは、夜間で緊急性があり、「渋谷で、今夜診てくれる皮膚科」を探しているのです。このようなユーザーの来院確度は、極めて高いのです。

累積効果による集患パワー

ロングテールキーワード1つの検索ボリュームは小さい(月間50~200件)ですが、複数のロングテールキーワードで上位表示されることで、累積的に大きなアクセス数になります。

例:ロングテール記事による累積アクセス

ロングテール記事1:「犬 痒い 原因」(50件/月×30%=15件)

ロングテール記事2:「犬 痒い 病院」(80件/月×40%=32件)

ロングテール記事3:「犬 アレルギー 症状」(120件/月×35%=42件)

ロングテール記事4:「犬 皮膚病 塗り薬」(60件/月×25%=15件)

ロングテール記事5:「犬 痒い 夜間診療」(40件/月×60%=24件)

累積アクセス:月間100件以上 × 来院確度30~50% = 月間30~50名の見込み客

 

3.ロングテールキーワードの発掘方法

方法1:Googleサジェスト機能の活用

Googleの検索ボックスに「犬 痒」と入力すると、自動的に「犬 痒い」「犬 痒い 原因」「犬 痒い 病院」といった、関連キーワードが表示されます。これが「Googleサジェスト」です。

Googleサジェストに表示されるキーワードは、「実際に多くの人が検索している」という、Googleが認定した証拠です。つまり、ここに表示されるキーワードは、すべて有力なロングテールキーワード候補なのです。

Googleサジェスト活用の手順

  1. 「犬」と入力 → サジェストから「犬 痒い」を発見
  2. 「犬 痒い」と入力 → サジェストから「犬 痒い 原因」「犬 痒い 病院」「犬 痒い 皮膚病」を発見
  3. 各候補をさらに深掘り

この作業を体系的に行うことで、数十~数百のロングテールキーワードを発掘できます。

方法2:キーワード発掘ツールの活用

SEMrush、Ahrefs、ラッコキーワード などのツールは、「あるキーワードに関連する、すべてのサジェスト」を一覧表示してくれます。

これらのツールを使用することで、手動でのGoogleサジェスト探索よりも、格段に効率的にロングテールキーワードを発掘できます。

ラッコキーワードの活用例

検索ワード:「犬 痒い」

発掘されるキーワード:

– 犬 痒い 原因

– 犬 痒い 病院

– 犬 痒い 塗り薬

– 犬 痒い 皮膚病

– 犬 痒い 季節

– 犬 痒い ブラッシング

– 犬 痒い アレルギー

– 犬 痒い 夜間

… など、20~30個のキーワード

方法3:Googleアナリティクスの「検索クエリ」分析

既にホームページへのアクセスがある場合、Googleアナリティクスの「検索クエリ」レポートで、「ユーザーが実際にどのキーワードで来訪したか」を確認できます。

これらの検索クエリが、あなたの医院に関心を持つユーザーが実際に検索しているキーワードなので、非常に有力なロングテールキーワード候補なのです。

方法4:競合医院のブログ記事から逆算

Google検索で上位表示されている競合医院のブログ記事を確認することで、「その医院が狙っているロングテールキーワード」が推測できます。

例えば、競合医院が「犬が痒がるときの対処法」というブログ記事を投稿していれば、その医院は「犬 痒い 対処」というロングテールキーワードで上位表示を狙っていると推測できるのです。

競合医院が対策していないロングテールキーワードは、あなたの医院の「ブルーオーシャン」(競争のない領域)です。

4.質の高いロングテールキーワードの見分け方

優先度が高いロングテールキーワード

すべてのロングテールキーワードが、同じ価値を持っているわけではありません。以下の基準で、優先度が高いロングテールキーワードを見分けることが重要です。

基準 優先度高 優先度低
医院との関連性 診療科目・得意分野と関連 無関係
検索ボリューム 月間50~300件 月間10件以下
来院確度 「症状+地域」など、来院意思が見える 情報収集型
競争度 低い(中小医院サイトが少ない) 高い(大手サイトが上位)
季節性 通年で検索需要がある 季節限定

優先度が高いロングテールキーワードの例

「渋谷 犬 皮膚科 痒い」

✓ あなたの医院の診療科目と完全一致

✓ 月間80件の検索(十分なボリューム)

✓ 「地域+症状」で来院意思が明確

✓ 競争度が低い

✓ 通年で検索需要がある

→ 優先度:高い ★★★

優先度が低いロングテールキーワードの例

「犬の痒みについての学術論文」

✗ あなたの医院の診療内容と関連性が薄い

✗ 月間5件未満の検索(ボリーム不足)

✗ 検索者は学術的情報を求めており、来院意思がない

✗ 競争度が高い(大学サイト、研究機関が支配)

→ 優先度:低い ☆

「検索意図」による適切な判定

ロングテールキーワードを選定する際、「そのキーワードで検索するユーザーは、本当に来院する可能性があるのか」を判定することが重要です。

実際にそのキーワドで検索し、上位表示される記事・ページの内容を確認することで、「検索意図」が推測できます。

例えば、「犬 痒い 塗り薬」で検索すると、「自分でケアできる塗り薬の選び方」といった情報記事が上位表示される場合、このキーワードは「情報収集型」であり、来院に直結しにくいと判定できます。

一方、「渋谷 犬 皮膚科 今すぐ」で検索すると、医院のビジネスプロフィール情報や予約ページが上位表示される場合、このキーワードは「取引型」(来院直前段階)であり、優先度が極めて高いと判定できるのです。

5.ロングテールキーワードを活かしたブログ記事作成

ロングテール記事の構成

ロングテールキーワードに基づいたブログ記事は、以下のような構成が効果的です。

構成例:「犬 痒い 原因 アレルギー」というキーワード対応記事

【ページタイトル】

「犬が痒がる原因はアレルギー?症状の見分け方と対応方法【獣医師解説】」

 

【メタディスクリプション】

「犬が痒がるのはアレルギーが原因かも。症状の特徴、診断方法、治療法を獣医師が詳しく解説。渋谷での相談も受け付けています。」

 

【h1見出し】

犬が痒がる原因はアレルギー?症状の見分け方と対応方法

 

【h2見出し】

– 犬のアレルギーとは何か

– 犬が痒がるアレルギーの種類(食物アレルギー、環境アレルギー、接触アレルギー)

– アレルギー性皮膚炎の症状の見分け方

– 他の皮膚病との違い

– 自宅での対応方法

– いつ医師の診察が必要か

– 当院での治療方法

– よくある質問

 

【本文】

読者の「今、犬が痒がっているので困っている」という緊急のニーズに応える、具体的で実用的な情報

 

【CTA(行動喚起)】

「症状が続く場合は、当院への相談をお勧めします。オンライン予約はこちら」

記事の長さと情報網羅性

ロングテール記事は、最低でも1,500~2,000文字以上が推奨されています。

短い記事では、検索ユーザーの「なぜ?」という疑問に十分に答えられず、ユーザーは別のサイトへ移動してしまいます。

一方、詳細で実用的な情報が2,000文字以上記載されていれば、ユーザーは「このページで十分な情報が得られた」と満足し、次のアクション(予約、問い合わせ)へ進む可能性が高まるのです。

ユーザーの「顕在ニーズ」から「潜在ニーズ」へのフロー

ロングテール記事の最大の価値は、「ユーザーの顕在ニーズ(今、この瞬間の困り事)に応えながら、同時に医院への来院ニーズ(潜在ニーズ)を喚起できる」という点です。

記事内でのニーズ進化フロー

記事冒頭:「犬が痒がっているので、原因を知りたい」(顕在ニーズ)

記事中盤:「いろいろな原因があるんだ。自分の犬はどれかな?」

記事後半:「症状が続く場合や、判断が難しい場合は医師の診察が必要」

CTA部分:「当院で無料相談できます。予約はこちら」(潜在ニーズが顕在化)

このようなフローを作ることで、情報を求めていたユーザーが、自然と「医院に相談したい」という行動へ導かれるのです。

6.ロングテールキーワード戦略による集患のフロー

月別の記事投稿計画

ロングテールキーワード戦略を最大化するには、計画的な投稿が重要です。

投稿テーマ ロングテールキーワード例 投稿数
1月 新年症状対応 「犬 嘔吐 正月」「猫 下痢 食べ物」 4記事
2月 冬季疾患 「犬 風邪 症状」「猫 感染症 予防」 4記事
3月 春の予防 「犬 予防接種 時期」「フィラリア予防 時期」 4記事
4月 春のアレルギー 「犬 痒い アレルギー」「猫 目やに 春」 4記事
以降、継続投稿… 月4~8記事

年間投稿計画表

月 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10 11 12

投稿 4  4  4  4  4  4  4  4  4  4  4  4  = 年48記事

年間48記事、つまり週1記事程度を継続投稿することで、確実にロングテール効果が累積するのです。

ユーザーの段階的な来院フロー

ロングテール記事戦略が機能すると、以下のような段階的なユーザーフローが形成されます。

段階1:ロングテール記事での来訪

「犬 痒い 原因」で検索 → あなたのブログ記事を発見

 

段階2:医院への認識形成

記事の内容から「この医院は皮膚疾患に詳しい」と認識

 

段階3:他の記事へ導線

「関連記事:皮膚疾患の治療方法」「スタッフ紹介」を閲覧

 

段階4:予約への行動

「症状が続いているので、相談したい」 → 予約ボタンをクリック

 

段階5:来院

初診患者様として来院 → 治療開始

このフローにより、「情報を求めていただけのユーザー」が、段階的に「来院者」へと変化するのです。

7.実例:ロングテール記事による集患増加

事例1:月間8記事のロングテール投稿で新患35名増

ある動物病院では、開業後2年で新患数が停滞していました。

施策前の状況

  • 月間ホームページアクセス:80件
  • 月間新患数:8名
  • ブログ投稿:月1記事程度

実施内容

  1. 地域内のロングテールキーワード(50~300件/月)を50個発掘
  2. 月8記事のロングテール記事投稿を開始
  3. 各記事に医院情報とCTAボタンを配置
  4. Googleサーチコンソール、アナリティクスで月1回分析・改善

結果(6ヶ月後)

  • 月間ホームページアクセス:80件 → 450件(5.6倍)
  • 月間新患数:8名 → 43名(5.4倍増)
  • 上位表示ロングテール記事数:25記事
  • 月間ブログからの来院数:約30~35名

事例2:季節性を活かしたロングテール戦略で集患安定化

別の動物病院では、月間新患数が季節によって大きく変動していました。

施策前の状況

  • 春の新患数:月間40名
  • 冬の新患数:月間15名
  • ばらつきが大きく、経営計画が立てにくい

実施内容

  1. 季節別のロングテールキーワドを100個以上発掘
  2. 季節ごとのテーマでロングテール記事を投稿
  3. 冬のニーズキーワード(「犬 下痢」「猫 感染症」など)を重点的に対策

結果(1年間)

  • 春の新患数:月間40名(変わらず)
  • 冬の新患数:月間15名 → 月間30名(2倍)
  • 年間新患数:480名 → 420名 → さらに安定性向上

季節による変動が緩和され、経営計画がより立てやすくなったのです。

8.よくある失敗と改善方法

失敗1:ロングテールキーワードで長くなりすぎる

問題:「犬 痒い 原因 アレルギー 症状 治療方法 薬 費用 予防 食べ物」のような、10単語以上のキーワードを狙おうとする

理由:確かに検索意図が明確ですが、このような超長いキーワードは月間数件の検索に過ぎず、投資対効果が低い

改善方法:「犬 痒い 原因 アレルギー」くらいの、4~6単語程度のキーワードに絞る

失敗2:医院の診療範囲外のロングテールキーワードで対策

問題:「犬 爪切り」というキーワードで記事を投稿したが、その医院は爪切りサービスを提供していない

理由:アクセスは来ても、来院に直結しない。ユーザーを失望させる可能性もある

改善方法:必ず「医院の診療科目・提供サービス」と関連するロングテールキーワードを選定

失敗3:記事の情報が古い、または不正確

問題:3年前に投稿したロングテール記事が、今でも上位表示されているが、その情報は古い

理由:Googleは、古い、または不正確な医療情報を含むサイトを、やがて評価低下させる

改善方法:半年ごとに既存記事を見直し、最新情報に更新して再投稿

失敗4:記事から医院への導線がない

問題:素晴らしいロングテール記事があるが、CTA(行動喚起)がない、または弱い

理由:ユーザーが記事で満足してしまい、医院への相談・予約へ進まない

改善方法:各記事の最後に、明確なCTAボタン「相談する」「予約する」を配置

9.まとめ

ロングテールキーワードは、「検索ボリュームは小さいが、来院確度が極めて高い」という、動物病院集患の最大のチャンスです。

全体の検索ボリュームの70%を占めるロングテールキーワードを制することで、確実に集患を加速させることができるのです。

ロングテール戦略の要点

  1. 発掘:Googleサジェスト、キーワード発掘ツール、アナリティクスなどから、月50個以上のロングテールキーワードを発掘
  2. 選定:医院の診療範囲と関連があり、月間50~300件のボリューム、来院確度が高いキーワードを優先
  3. 執筆:各キーワードで月4~8記事、1記事1,500文字以上のブログ記事を投稿
  4. 導線:各記事に明確なCTAボタンを配置し、医院への相談・予約へ導く
  5. 継続:年間48記事(週1記事)の継続投稿で、ロングテール効果を累積

半年~1年の継続により、月間数十名の新患を獲得できる、最も投資対効果に優れたSEO戦略なのです。


本記事をお読みいただいた院長先生へ:

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