動物病院の主要な顧客層は、シニア世代です。60代、70代の飼い主様がホームページにアクセスするケースが非常に多いにもかかわらず、多くの動物病院のホームページは、若い世代を想定した設計になっています。
小さい文字、複雑なナビゲーション、判別しにくい色使い—これらは、高齢者の目や認知能力では対応困難です。結果として、ホームページを訪れても「使いづらい」と感じられ、別のサイトへ移動してしまいます。本記事では、高齢飼い主様にも優しいホームページ設計のポイントを、文字サイズ、ボタン配置、色使いの観点から詳しく解説します。
目次
1.高齢飼い主様の視覚・認知特性 {#高齢特性}

視覚の変化
加齢に伴い、視覚能力は大きく変化します。60代と20代では、必要な文字サイズが4〜5倍異なるというデータもあります。
まず、水晶体が硬くなることで、ピント調節機能が低下します。つまり、小さい文字にピントを合わせることが困難になります。また、網膜の感度も低下し、暗い背景に明るいテキストという組み合わせでは、特に読みにくくなります。
さらに、眼病(白内障、黄斑変性症など)を持つシニア層も多く、コントラストが低い配色では、文字と背景の区別がつきにくくなります。
認知と運動能力の変化
マウスの操作精度も低下します。小さなボタンをクリックしようとしても、クリック位置がズレやすくなり、ストレスを感じるようになります。また、複雑な操作フローを理解することも難しくなり、「どこをクリックすれば予約できるのか」という基本的なナビゲーションでも困惑することがあります。
このような高齢特性を理解した上で、ホームページ設計を行う必要があります。
2.文字サイズ設定の科学 {#文字サイズ}

推奨される文字サイズ
一般的なホームページの本文は、14〜16ピクセル(px)で設定されていますが、高齢飼い主様も多く訪れるホームページでは、最低でも18〜20pxが必要です。
さらに重要な情報(営業時間、電話番号、住所)は、24〜28px以上のサイズで表示することをお勧めします。これらの情報にたどり着くまでの手間を減らすことが、ユーザーの満足度を大きく高めます。
見出しについても、同様に大きく設定します。h1(ページタイトル)は40px以上、h2(大見出し)は28px以上が目安です。
行間(ラインハイト)の最適化
テキストの行間も極めて重要です。行間が狭いと、高齢者は文字を追いづらくなり、読む気力が失われます。本文の行間は、最低でも1.6倍、理想的には1.8倍に設定することをお勧めします。
この設定により、読みやすさが劇的に改善されます。医学的には、行間1.5倍以上で、視認性が30%向上するというデータもあります。
フォント選択の工夫
フォント選択も重要です。セリフ体(毛筆のように線の先端が広がったフォント)より、サンセリフ体(線が一定の太さのフォント)の方が、高齢者には読みやすいです。また、フォント自体が「太め」のバリエーション(例えば、Noto Sans JPの「Bold」や「SemiBold」)を選ぶことで、さらに読みやすくなります。
3.ボタン配置で操作性を向上させる {#ボタン配置}

ボタンのサイズと形状
ホームページ上のボタン(予約する、お電話でお問い合わせなど)のサイズは、最低でも44×44ピクセル以上が必要です。これは、指の太さを考慮したモバイルUI設計の標準です。
しかし、高齢飼い主様の場合、さらに大きい48×56ピクセル程度のサイズが理想的です。大きいボタンは、マウスやタッチペンの操作精度が低下した高齢者にとって、確実にクリックできるという安心感を与えます。
ボタンの形状は、角丸のボタン(各コーナーに丸みを持たせたデザイン)の方が、シャープな四角形より、柔らかい印象になり、親しみやすさが増します。
ボタンの配置位置
重要なボタン(予約ボタン、電話ボタン)は、複数箇所に配置することが重要です。特にスマートフォン表示では、ページトップ、ページ中央、ページ下部に、同じボタンを配置することで、ユーザーがどこにいても行動を起こせる環境を整えます。
また、スマートフォンでページをスクロールしても常に見える「スティッキーボタン」(ページ下部に固定されるボタン)を設置することで、操作性が格段に向上します。
ボタンテキストの明確さ
ボタンに表記するテキストも重要です。「クリック」「送信」といった抽象的な表現より、「予約する」「診察について相談する」といった、具体的で分かりやすい表現が必要です。高齢飼い主様は、その行動がもたらす結果を明確に理解したいと考えています。
4.色使いの配慮ポイント {#色使い}

コントラスト比の確認
最も重要なのは、テキスト色と背景色の「コントラスト比」です。高齢者は、色彩認識能力が低下し、低コントラスト環境では文字が読めなくなります。
推奨されるコントラスト比は、最低でも4.5:1です。例えば、黒いテキスト(#000000)に白い背景(#FFFFFF)の場合、コントラスト比は21:1となり、最も読みやすい組み合わせです。
一方、濃いグレーのテキスト(#666666)に薄いグレーの背景(#F0F0F0)の場合、コントラスト比は3:1程度となり、高齢者には読みづらくなります。
色だけに依存しない表現
色だけでユーザーに情報を伝えることは避けるべきです。例えば、「エラーメッセージを赤色で表示」「成功メッセージを緑色で表示」という設計は、色盲や色弱の人には伝わりません。
代わりに、テキストでも「エラー: 名前を入力してください」「成功: 予約を確定しました」と明記することで、色に依存しない情報伝達ができます。
色の選択ガイドライン
動物病院のホームページに適した配色は、白い背景に黒またはダークグレーのテキストです。この組み合わせは、高齢者だけでなく、すべてのユーザーにとって最も読みやすいです。
アクセント色(ボタンやリンクの色)は、濃い青や濃い緑など、背景と明確に区別できる色を選びます。薄い色や、背景と似た色は避けるべきです。
5.ナビゲーション設計の工夫 {#ナビゲーション}
シンプルなメニュー構造
複雑なドロップダウンメニューや多段階のサブメニューは、高齢者を困惑させます。メニューは、最大でも3階層程度に限定し、各ページへのアクセスを分かりやすくします。
トップページから、「診療内容」「料金」「予約」「お問い合わせ」といった、主要なページへのリンクが一目瞭然であることが理想的です。
戻るボタンと現在地表示
ユーザーが迷子にならないよう、各ページに「戻る」ボタンを配置し、同時に「現在地表示」(例えば、ホーム > 診療内容 > 歯科治療)をページ上部に表示することで、ナビゲーションの安心感が生まれます。
タッチターゲットのサイズ
スマートフォンでのメニューボタンや、リンクテキストも、タップしやすいサイズが必要です。リンクテキストの周囲に、最低でも8px程度の余白を配置することで、誤タップを減らせます。
6.アクセシビリティ対応 {#アクセシビリティ}
スクリーンリーダー対応
視覚障害を持つシニア層のために、スクリーンリーダー(画面読み上げソフト)対応も重要です。HTMLを正しく構造化し、見出しや段落、リストが適切に標記されていることで、スクリーンリーダーが正確に情報を読み上げられます。
キーボード操作対応
マウス操作が困難な方のために、キーボードだけでもホームページを操作できるよう、設計する必要があります。Tab キーでナビゲーション要素を順番に選択でき、Enter キーで確定できるという基本的な対応が必須です。
テキストサイズ変更機能
ブラウザのテキストサイズ変更機能(Ctrl + または Cmd +)に対応することで、ユーザーが自分の好みのサイズにテキストを調整できます。固定サイズでテキストを設定していないか、確認が必要です。
7.まとめ {#まとめ}

高齢飼い主様がホームページを快適に利用できるかどうかは、動物病院の集患に大きな影響を与えます。視覚や認知能力の変化に配慮した設計を行うことで、より多くの飼い主様にホームページの価値を届けることができます。
文字サイズは最低18〜20px、見出しはさらに大きく。行間は1.6倍以上。ボタンは44×44ピクセル以上で、複数箇所に配置。色選びは白背景に黒またはダークグレーのテキスト。メニューはシンプルに3階層程度。
これらのポイントを押さえることで、高齢飼い主様にも若い飼い主様にも、快適なホームページ体験を提供できます。結果として、ユーザーの満足度が向上し、予約率も上昇します。
ホームページは、年代を問わず、すべての飼い主様にとって使いやすいものであるべきです。その考え方が、長期的な集患につながるのです。
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動物病院経営ラボでは、高齢飼い主様にも対応した、ユーザビリティ重視のホームページ設計を心がけています。文字サイズ、色彩設定、ナビゲーション設計など、細かな配慮で、すべての飼い主様が快適に利用できるホームページを実現いたします。
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