犬の肥満が引き起こす5つの病気と予防食の選び方 健康寿命を延ばすための実践的な情報

飼い主様がペットの肥満について相談するとき、よく聞く言葉があります。

「でも、うちの子、食事は普通の量なんですよ…」 「可愛いから、おやつをあげちゃって…」 「運動も毎日散歩してるし…」

多くの飼い主様は、ペットが「肥満体」になっていることに気づいていません。なぜなら、飼い主様の視点では「うちの子は普通」と感じているからです。しかし、獣医学的には、日本の犬の約40~50%が過体重または肥満状態にあるとされています。

さらに重要なのは、**「肥満は単なる外見の問題ではなく、複数の深刻な疾患の引き金になる」**という事実です。関節炎、糖尿病、心臓病、脂肪肝、膵炎…これらの病気は、肥満が存在することで発症リスクが数倍に高まります。

本記事では、犬の肥満が引き起こす5つの主要な病気について、その仕組みと予防食の選び方を、飼い主様にもわかりやすく解説します。

目次

  1. 犬の肥満の定義と診断基準
  2. 肥満が引き起こす5つの主要な病気
  3. 肥満のメカニズム:なぜ太るのか
  4. 体重管理の重要性と健康寿命への影響
  5. 予防食の選び方のポイント
  6. 実践的な給餌管理方法
  7. 飼い主様が陥りやすい誤解と対応
  8. まとめ

1. 犬の肥満の定義と診断基準

「肥満」と「太り気味」の違い

動物病院の診察室では、体重が「正常範囲」を超えたペットを見かけることが多いですが、飼い主様は気づいていないことがほとんどです。

医学的には、肥満を以下のように定義しています。

理想体重からの超過率による分類

理想体重 = 100%

 

過体重:理想体重の110~120%

肥満:理想体重の120%以上

高度肥満:理想体重の150%以上

例えば、理想体重が10kgの犬の場合:

  • 理想体重:10kg
  • 過体重の目安:11~12kg
  • 肥満の目安:12kg以上
  • 高度肥満の目安:15kg以上

ボディ・コンディション・スコア(BCS)による診断

理想体重が不明な場合、**視診と触診による「ボディ・コンディション・スコア」**が用いられます。

BCS 5段階評価

BCS 1(痩せすぎ)

外見:肋骨が明らかに突出している

触診:脂肪がなく、肋骨が容易に触知できる

├─ 危険度:高い(栄養不良)

└─ 対応:栄養補給が必要

 

BCS 2(やや痩せ)

外見:肋骨が見える、腰部が絞られて見える

触診:軽く押すと肋骨が触知できる

├─ 健康度:良好

└─ 対応:不要

 

BCS 3(理想体重)★ 目標

外見:肋骨が見えないが、触れると容易に触知できる

触診:腰部の絞りが明確に見える

触感:腹部に適度な脂肪がある

├─ 健康度:最高

└─ 対応:この状態を維持する

 

BCS 4(肥満)

外見:肋骨が触知しづらい、腰部の絞りが不明確

触診:脂肪層が厚く、圧迫が必要

外観:腹部が垂れ下がっている

├─ 危険度:やや高い

└─ 対応:食事療法、運動増加

 

BCS 5(高度肥満)

外見:肋骨が見えない、触知不可、腰部の絞りがない

触診:厚い脂肪層に覆われている

外観:腹部が著しく垂れ下がる、移動が困難

├─ 危険度:非常に高い

└─ 対応:医学的介入が必須

BCS 3が理想的な状態です。飼い主様に「ちょっと細いかな?」と感じるくらいが、実は最適な体形なのです。

 

2.肥満が引き起こす5つの主要な病気

病気①:変形性関節症(関節炎)

肥満との関係性

肥満した犬は、関節への負荷が大きく増加します。特に後肢の関節に圧力がかかり、軟骨が徐々に破壊されます。

メカニズム:

 

超過体重

関節への負荷増加

関節軟骨の損傷

炎症反応が発生

痛み・跛行が出現

さらに運動が減少

体重がさらに増加(負の悪循環)

発症リスク

肥満度が高いほど、関節炎の発症リスクが指数関数的に上昇します。

理想体重          関節炎発症リスク

:ほぼゼロ

 

過体重(110~120%) 1.5~2倍に上昇

肥満(120~150%)  3~5倍に上昇

高度肥満(150%以上) 5~10倍以上に上昇

症状と飼い主様への説明

  • 朝、歩き始めがぎこちない
  • 後肢を引きずるようにして歩く
  • 散歩の途中で歩きたがらなくなる
  • ジャンプができなくなる
  • 段差の上り下りが困難

「この症状は、肥満により関節に過剰な圧力がかかっているために起こります。体重を5kg減らすだけで、関節炎の症状が大幅に改善することも多いです。」

病気②:糖尿病

肥満との関係性

肥満した犬の脂肪組織は、インスリンの効きを悪くする物質(炎症性サイトカイン)を分泌します。これがインスリン抵抗性を生み出し、膵臓のβ細胞に過剰な負担をかけます。

正常な犬:

インスリン → 血糖低下

 

肥満の犬:

インスリン分泌 → インスリン抵抗性のため

→ 血糖が低下しにくい

→ さらに多くのインスリン分泌が必要

→ β細胞が疲弊

→ やがてインスリン分泌不全に

→ 糖尿病発症

統計的リスク

理想体重の犬        糖尿病発症リスク:約1%

肥満の犬(BCS 4-5) 糖尿病発症リスク:15~20%

糖尿病発症時の症状

  • 多飲・多尿(いつもより水をよく飲み、尿が増える)
  • 食欲旺盛なのに体重減少
  • 毛並みの悪化、皮膚トラブル増加
  • 眼の濁り(白内障の可能性)

「肥満自体が糖尿病のリスク因子ですが、逆に言えば、体重を適正に管理することで、糖尿病発症を大きく予防できるということです。」

病気③:心臓病

肥満との関係性

肥満した犬は、多くの臓器に脂肪が蓄積します。特に心臓の周囲に脂肪が蓄積することで、以下の悪影響が生じます。

  1. 心臓の拡張が制限される 肥満により心臓が圧迫され、正常な拡張ができなくなる
  2. 代謝が亢進する 体脂肪が多いほど基礎代謝が上昇し、心臓の負担増加
  3. 炎症が増加する 脂肪組織の炎症が心臓にも波及

心臓への具体的な害

正常な犬         肥満の犬

┌────┐         ┌────┐

│心臓│          │心臓│ ← 脂肪に圧迫されている

└────┘         └────┘

↓ 側面図

※脂肪でコーティング

※正常な拡張ができない

※血液循環が悪化

症状と危険度

  • 散歩中の呼吸困難
  • 咳が増える
  • 元気がなくなる、活動量が低下
  • 失神の可能性(重度の場合)

病気④:膵炎(膵臓の炎症)

肥満との関係性

脂肪の多い食事を摂取する肥満犬では、膵臓への負担が非常に大きくなります。膵臓は食事中の脂肪を消化するため、大量の膵酵素を分泌する必要があります。この過剰な負担が膵臓の炎症につながります。

発症のプロセス

高脂肪食または肥満

膵臓への刺激が増加

膵酵素の過剰分泌

膵臓自体が自分の酵素で傷つく

膵炎発症

症状

膵炎は急性と慢性がありますが、症状としては:

  • 嘔吐(特に脂肪の多い食事後)
  • 腹痛(背を丸める姿勢、夜間の不安感)
  • 食欲不振、下痢
  • 重度の場合:ショック状態、死亡も

「膵炎は非常に苦しい病気です。『人間の急性膵炎は入院が必要なほどの苦痛』と考えていただければ、その深刻さが理解できます。」

病気⑤:脂肪肝(肝脂肪変性)

肥満との関係性

肥満した犬の肝臓には、余剰な脂肪が蓄積します。脂肪が肝細胞の30%以上を占める状態を「脂肪肝」と呼びます。

正常な肝臓:肝細胞 + 血液 + 少量の脂肪

肥満による脂肪肝:肝細胞 + 大量の脂肪 → 肝機能低下

脂肪肝がもたらす害

肝臓の機能が低下することで:

  1. 解毒機能の低下 体内の有害物質が排出されにくくなる
  2. タンパク質合成の低下 免疫球蛋白や凝固因子が不足する
  3. 代謝異常 ビタミン吸収も悪くなる

症状

初期段階では症状がないことが多いため、健康診断での血液検査で発見されることが大半です。

  • 血液検査での肝酵素の上昇(ALT、AST)
  • 進行すると:黄疸、腹水、脳症

「脂肪肝は、初期に気づいて体重管理をすれば、完全に改善することが多いです。その点で、早期発見が極めて重要です。」

 

3.肥満のメカニズム:なぜ太るのか

肥満の原因は「食事量」だけではない

飼い主様がよく誤解することは、「肥満=食べすぎ」という単純な図式です。しかし実際には、複数の要因が関係しています。

肥満の主要な原因

原因 説明 改善方法
摂取カロリー過剰 与えている食事量が多すぎる 給餌量の適正化
おやつ・人間の食べ物 食事以外のカロリーが多い おやつの廃止、人間の食べ物の禁止
運動不足 散歩や遊びが不足している 運動量の増加
代謝低下 加齢による基礎代謝低下 より厳密な食事管理
避妊・去勢後 ホルモン低下による代謝低下 給餌量の減少調整
医学的原因 甲状腺機能低下症、クッシング症候群等 医学的治療が必須

その中でも特に多いのが、**「おやつと人間の食べ物からのカロリー摂取」**です。

実例:隠れたカロリー爆弾

ある飼い主様は、こう言いました。

「毎日、フードを200gだけあげて、散歩も1日2回、30分ずつしているのに、全然痩せないんです…」

獣医師が詳しく聞くと、以下のことが判明しました。

【1日のカロリー収支】

 

【公式的な食事】

ドッグフード(200g)     :約500kcal

 

【隠れたカロリー】

おやつ(犬用クッキー3枚)  :約150kcal

人間の食べ物

├─ 夜食で与えるチーズ     :約50kcal

├─ 朝食のパン            :約30kcal

└─ ブドウ(与えてはいけない!):不明

スープやソースの舐めさせ  :~100kcal程度

 

【合計】

公式の食事:500kcal

隠れたカロリー:330kcal以上

─────────────

総摂取カロリー:830kcal以上

 

【理想体重10kg犬の1日所要カロリー】

約400~450kcal

 

【この犬の状況】

→ 必要なカロリーの約2倍近いカロリーを摂取している!

このような例は、獣医師の診察室では非常に一般的です。

 

4.体重管理の重要性と健康寿命への影響

「健康寿命」への影響

単に「長生きする」だけでなく、「健康な状態で生きる期間」を示すのが「健康寿命」です。

肥満と健康寿命の関係

ある大規模な調査では、理想体重を保つ犬と肥満の犬の寿命差が明らかになりました。

理想体重の犬

├─ 平均寿命:13.1年

├─ 健康寿命:11.5年

└─ 寝たきり期間:約1.6年

 

肥満の犬(BCS 4-5)

├─ 平均寿命:11.2年(理想体重比で1.9年短い)

├─ 健康寿命:8.7年(理想体重比で2.8年短い)

└─ 寝たきり期間:約2.5年(理想体重比で長い)

重要なポイント

肥満が短縮するのは、単に「全体的な寿命」ではなく、特に**「健康寿命」です。** つまり、肥満の犬は、苦しい状態で長く生きるのではなく、健康に生きられる期間そのものが短くなるということです。

飼い主様への説得力のある説明

「体重管理は、単に外見の問題ではなく、

『ペットが健康で元気に過ごせる期間を延ばす』

ための、最も重要な投資です。

 

理想体重を保つことで、

関節炎、糖尿病、心臓病などの

加齢に伴う病気の発症を遅延・予防でき、

結果として『健康寿命』が数年延びるのです。

 

これは、単なる『ダイエット』ではなく、

『ペットの人生の質を高める』という意味で、

最も重要な医療行為の1つなのです。」

 

5.予防食の選び方のポイント

「肥満予防食」と「ダイエット食」の違い

多くの飼い主様が混同していますが、この2つは異なるものです。

肥満予防食

  • 対象:理想体重を保っている犬が、太らないようにするため
  • 特徴:適度なカロリー、バランスの取れた栄養
  • 用途:継続的に与える通常食

ダイエット食

  • 対象:既に肥満している犬を痩せさせるため
  • 特徴:低カロリー、高タンパク質、高食物繊維
  • 用途:医学的な指導下で、一時的に給与

予防食選びの3つのポイント

ポイント①:カロリーが適正であるか

フード選びで重要な数字:カロリー密度(kcal/100g)

 

低カロリータイプ         約300~330kcal/100g

標準的なドライフード    約350~400kcal/100g

高カロリータイプ         約420kcal/100g以上

 

肥満予防を目的とする場合:

目安として350~380kcal/100gが適正範囲

多くの一般的なドッグフードは、350~400kcal/100gです。これ自体が問題ではなく、給餌量をこのカロリー情報に基づいて正確に計算することが重要です。

ポイント②:タンパク質が充実しているか

カロリーを制限しても、

タンパク質が不足すると、

筋肉が減少してしまいます。

 

肥満予防食としての条件:

タンパク質含有量:18~25%程度

 

理由:

– 低カロリーの食事では、

タンパク質比率を相対的に高くする必要がある

– 筋肉量の維持により、

基礎代謝が低下するのを防ぐ

ポイント③:食物繊維のバランス

食物繊維が充実すると:

 

✓ 満腹感が得られやすい

✓ 便秘の予防

✓ 腸内菌叢の改善

✓ 血糖値の急上昇を防止

 

肥満予防食としての条件:

食物繊維含有量:5~8%程度(やや高めが理想的)

メジャーなブランド別の肥満予防食の選択例

ブランド 製品名 特徴 適性
ロイヤルカナン ウェイト・マネジメント 高食物繊維、低カロリー、L-カルニチン配合 ★★★★★
ヒルズ w/d(ダイエット) 低脂肪、高食物繊維、消化性良好 ★★★★
プロプラン 体重管理用 タンパク質27%以上、低脂肪 ★★★★
アイムス 体重管理用 中程度カロリー、バランス型 ★★★

重要な注意

ブランドの優劣ではなく、**「そのフードが、その犬に合っているか」**が最も重要です。同じ「肥満予防食」であっても、個々の犬による反応は異なります。

 

6. 実践的な給餌管理方法

ステップ①:現在の体重と目標体重の設定

まず正確な体重測定が必要です。

【体重測定の方法】

 

自宅で正確に測る:

– 飼い主様が犬を抱っこして体重計に乗る

– 飼い主様の体重を引く

– = 犬の体重

 

推奨:週1回の同じ時間(朝、食事前)に測定

記録:体重の推移をグラフ化することで、

改善が可視化でき、

モチベーション維持に役立つ

目標体重の設定

理想体重が判明したら:

現在体重:15kg(肥満)

理想体重:10kg

減量目標:5kg削減

 

減量ペース:

月0.5kg程度の削減を目指す

(急激な減量は筋肉喪失につながるため避ける)

 

期間:約10ヶ月で目標体重に到達の予定

ステップ②:給餌量の正確な計算

【給餌量計算の例】

 

理想体重:10kg

推奨1日所要カロリー:400~450kcal

 

選択したフード:

– 製品:ロイヤルカナン ウェイト・マネジメント

– カロリー密度:330kcal/100g

 

計算:

1日所要カロリー ÷ フードのカロリー密度

= 400kcal ÷ 3.3kcal/g

= 121g

 

給餌量:1日約120g

(朝60g + 夜60g、2食分割)

ステップ③:おやつと人間の食べ物の完全廃止

これが最も難しく、かつ最も重要なステップです。

【おやつの位置づけ】

 

通常時(肥満でない犬):

1日所要カロリーの10%まで

 

減量中(肥満の犬):

完全廃止、または1日所要カロリーの5%以下

 

【人間の食べ物】

 

毒性のあるもの:

ぶどう、チョコレート、ネギ、キシリトール

→ 「与えてはいけない」ことを強調

 

カロリーはないが与えてもいい食べ物:

無糖ヨーグルト(小さじ1杯)、ニンジン(生)、キューリ

→ これらも控え、代わりに『遊び』で対応

飼い主様への心理的対応

多くの飼い主様は、「おやつをあげないことに罪悪感を感じる」と言います。

対応のコツ:

 

× 「おやつを与えてはいけません」(禁止的)

○ 「ペットのために、今は我慢してください」(協力的)

 

× 「甘えるままにおやつをあげるのは、

ペットを甘やかすことです」(非難的)

○ 「ペットの延命と健康寿命のための

最も効果的な方法が、

食事管理なのです」(医学的根拠)

ステップ④:運動量の段階的増加

体重が重い犬は、関節に負担がかかるため、急激な運動増加は避けるべきです。

【運動増加の段階的アプローチ】

 

現状:1日1回、15分の散歩

 

1~2週目:

→ 1日2回、各15分に変更

(新しいルートで気分転換も図る)

 

3~4週目:

→ 1日2回、各20分に延長

 

5~8週目:

→ 1日2回、各25分に延長

+ 週1回の遊びの時間を追加(フェッチなど)

 

9週目以降:

→ 1日2回、各30分以上

+ 段階的に強度を上げていく

 

7.飼い主様が陥りやすい誤解と対応

誤解①:「フードを変えるだけで痩せる」

現実

フード変更は、痛い外科手術や医学的な治療ではありません。あくまで「給餌管理の補助」です。

ダイエット成功の要素比率(研究に基づく)

 

食事管理      70%  ← 圧倒的に重要

運動          20%  ← サポート的

その他        10%  ← フード品質など

フードを変えても、給餌量が変わらなければ効果はありません。

誤解②:「人間用の『低カロリー食』は犬にも安全」

危険性

人間用の低カロリー食には、キシリトールなどの人工甘味料が含まれていることがあります。キシリトールは、犬にとって極めて危険で、低用量でも肝臓障害や低血糖を引き起こします。

犬が摂取してはいけない成分:

 

キシリトール    :肝臓障害、低血糖

アスパルテーム  :神経毒性の可能性

サッカリン     :危険性は低いが、

長期摂取は未知数

 

→ 人間用食品の給与は原則的に禁止

誤解③:「肥満は避妊・去勢が原因だから仕方ない」

半分正しく、半分誤解

避妊・去勢後、確かに代謝が低下します。しかし、これは「太り続けても仕方ない」という言い訳にはなりません。

避妊・去勢後の代謝低下:20~40%

 

対応:

給餌量を相応に減らすことで、

体重管理は十分に可能です。

 

例:

去勢前:200g/日 → 350kcal/日

去勢後:160g/日 → 280kcal/日

(給餌量を20%削減)

 

重要:去勢・避妊後のすぐに

給餌量を調整することが鍵

誤解④:「健康診断で体重のことを何も言われなかった」

危険な誤解

多くの飼い主様は、「医師が何も言わないから、うちの犬は大丈夫」と考えます。しかし、実際には、医師が「体重について指導する環境」が不十分である可能性があります。

【理想的な健康診断】

 

✓ 体重測定

✓ BCSの評価

✓ 体重に関するアドバイス

✓ 必要に応じて食事指導

✓ 今後の目標体重の設定

 

【実際の多くの診察】

 

△ 体重測定

△ 簡潔なアドバイスのみ

× 食事指導がない

× 目標体重の設定がない

動物病院側からも、飼い主様側からも、体重管理に関する「継続的で詳細なコミュニケーション」の構築が重要です。

 

8.まとめ

犬の肥満が引き起こす5つの病気

① 変形性関節症:関節痛による生活の質低下

② 糖尿病:毎日の投薬、食事制限が必要な生涯疾患

③ 心臓病:最も深刻。寿命短縮、呼吸困難

④ 膵炎:急性では緊急入院必要、慢性では苦痛の継続

⑤ 脂肪肝:初期は症状なく、進行すると肝不全の危険

これらの病気は、いずれも**「体重管理により大幅に予防可能」**です。

健康寿命を延ばすための3つの実践的ステップ

Step 1:現在の体形を正確に把握する

飼い主様の「感覚」ではなく、BCSと体重で客観的に判断。多くの飼い主様は自分の犬が肥満であることに気づいていません。

Step 2:給餌量を科学的に設定する

フードのカロリー密度から逆算して、正確な給餌量を決定。「いつもこのくらい」という感覚的な給餌は避ける。

Step 3:おやつと人間の食べ物を完全に廃止する

ここが最大の難関。飼い主様の「心理的な満足感」と「ペットの健康」のバランスを取ることが、医師の重要な役割です。

飼い主様へのメッセージ

「ペットの肥満は、単なる『太っている』という状態ではなく、

複数の深刻な病気へのカウントダウンが始まっている

という認識を持つことが重要です。

 

同時に、体重管理は、医薬品や手術とは異なり、

『飼い主様自身が実行できる、最も効果的な医療行為』です。

 

ペットが健康で、元気に過ごせる期間を延ばすために、

今からできることを、一緒に取り組みましょう。」


本記事を参考に

動物病院経営ラボでは、犬の肥満・体重管理に関する、

  • 飼い主様向けパンフレット・ポスター制作
  • ホームページの「肥満予防・体重管理」専用ページ作成
  • SNS・LINEでの定期的な体重管理アドバイス配信
  • 初診時の体形診断チェックシート設計

などのサポートを提供いたします。

「うちの病院でも、肥満対策をもっと強化したい」 「飼い主様の意識を高めたい」 「継続的なサポート体制を作りたい」

このようなご相談は、ぜひお気軽にお寄せください。

ペットの健康寿命を延ばすための、戦略的なコンテンツ制作・情報発信サポートを、全力でさせていただきます。