多くの動物病院のホームページには、「院長からのメッセージ」というページがあります。
しかし、その多くは「獣医師を志した動機」「医療への思い」といった、抽象的で感情的な内容に留まっています。
患者様は、院長の「想い」よりも、実は「実績」を知りたいのです。
「この院長は、どのくらいの経験を持っているのか」「どのような症例を診てきたのか」「実際に、患者様の動物たちを治すことができるのか」—このような「実績に基づいた信頼」を求めているのです。
つまり、院長のメッセージページは、「想い」から始まり、「実績」で終わる構成が、最も飼い主様の心を掴むのです。
本記事では、飼い主様が「この院長なら信頼できる」と感じる、自己紹介ページの構成法と、その執筆方法を、詳しく解説します。
目次
- 従来型「院長メッセージ」の問題点
- 飼い主様が知りたい「院長情報」
- 信頼構築型メッセージページの構成法
- パート1:簡潔な自己紹介
- パート2:獣医師志望の動機(簡潔に)
- パート3:臨床経験と実績の詳細
- パート4:診療への向き合い方(具体例で)
- パート5:患者様への約束
- 写真・プロフィール情報の活用
- 実例:メッセージ構成による患者信頼度向上
- まとめ
1.従来型「院長メッセージ」の問題点
「思い」だけで終わってしまう
多くの動物病院の院長メッセージを読むと、以下のような内容が見られます。
「獣医師という職業を選んだのは、子どもの頃から動物が好きだったから」「患者様と動物の絆を大切にしたいという思いで、診療に当たっています」
これらは、院長の「想い」であり、その想いは素晴らしいものです。しかし、患者様の視点からすれば、「想いだけでは、実際に治してくれるか不安」という感情が残るのです。
「経験」が具体的に示されていない
院長メッセージで「多くの患者様を診てきました」という抽象的な表現はあっても、以下のような具体的な情報は記載されていません。
年間の手術件数、難治性疾患の治療実績、専門分野、学会での発表経歴—これらの「実績」が示されていないのです。
患者様の「不安」が解消されていない
患者様がホームページを訪問するとき、多くは「ペットが病気だ」「治療法がわからない」という不安な状態です。
このような不安な心理状態のユーザーにとって、院長の「想い」より「実績」の方が、はるかに信頼を醸成するのです。
2.飼い主様が知りたい「院長情報」

経歴と臨床経験
患者様が最も知りたいのは「この院長は、本当に経験があるのか」ということです。
卒業大学、臨床経験年数、専門分野—これらの基本的な情報が、実は患者様の信頼を大きく左右します。
診療の専門性
「一般診療だけでなく、どのような特殊な診療に対応しているのか」という情報も重要です。
例えば、「外科手術に特に力を入れている」「老齢動物の治療を得意としている」といった専門性が明確に示されることで、患者様は「この院長なら、うちの子の症状に対応できそう」という確信を持つことができます。
実績と成果
「年間◯◯件の手術」「◯◯疾患の治療成功率◯%」といった、定量的な実績情報です。
これらは、患者様の信頼をダイレクトに高める、最も効果的な情報なのです。
学会活動と研究実績
学会での発表、論文执筆、継続教育—このような「医学的な研鑽」を続けていることは、「この院長は、常に最新の医療を学んでいる」という安心感を患者様に与えます。
3.信頼構築型メッセージページの構成法
5段階構成の提案
従来の「想い」だけのメッセージページから、「想い」と「実績」を統合した構成への転換が必要です。
以下の5段階構成が、最も飼い主様の信頼を構築します。
パート1:簡潔な自己紹介(氏名、役職、簡単なプロフィール) パート2:獣医師志望の動機(簡潔に、感情的にならないように) パート3:臨床経験と実績(具体的な数値、専門分野) パート4:診療への向き合い方(具体的な症例、治療事例) パート5:患者様への約束(今後のコミットメント)
この構成により、患者様の心理プロセス(想い → 納得 → 信頼 → 約束)が自然に形成されるのです。
4.パート1:簡潔な自己紹介
氏名と役職
まず、氏名と役職を明確に記載します。
「〇〇動物病院 院長 △△太郎」というシンプルな記載で十分です。
プロフィール情報(3~4行)
長々としたプロフィールは必要ありません。以下の情報を、簡潔にまとめます。
卒業大学と卒業年。「◯◯大学獣医学部卒業(20XX年)」
臨床経験年数。「臨床経験25年」
所属学会・資格。「日本獣医内科学会認定医」
この段階では、「これから詳しい情報を説明します」というイントロダクション的な役割に留めます。
5.パート2:獣医師志望の動機(簡潔に)
「想い」は簡潔に
獣医師を志した動機は、患者様にとって多少の関心事ですが、ここに長々と時間をかけるべきではありません。
2~3段落、300字程度で、シンプルにまとめることが重要です。
「子どもの頃から動物が好きで、その想いが高じて、獣医師の道を選びました。」
このくらいの簡潔さが、実は読者に好印象を与えるのです。
「感情的」にならない工夫
「動物たちの苦しみを救いたい」「飼い主様と動物の絆を守りたい」—このような感情的な表現は、実は患者様に「大丈夫か?」という不安を与えることがあります。
むしろ、理性的で冷静な表現の方が、医療人としての信頼を高めるのです。
6.パート3:臨床経験と実績の詳細
ここから「実績」を強調する

ここから先は、患者様が最も知りたい「実績」を、具体的に示す段落です。
このパートは、全体の30~40%を占める、最も重要な部分です。
臨床経験の数値化
「臨床経験25年、年間◯◯件の初診患者様、累積◯◯件以上の手術実績」—このような具体的な数値を示すことで、患者様は「この院長は相当な経験を持っている」という信頼を構築できます。
診療分野の専門性
「外科手術に特に力を入れており、整形外科、腫瘍外科など、複雑な手術症例にも対応しています」
「老齢動物の医療に精通しており、多くの高齢ペットの治療を行ってきました」
このように、自院の診療分野での専門性を明確に示すことが重要です。
難治性疾患への対応実績
「猫の尿石症、犬の急性膵炎など、難治性疾患の治療にも豊富な経験を持ち、多くの患者様をサポートしてきました」
このような記載により、患者様は「複雑な症状でも対応してくれそう」という安心感を得られます。
学会活動と継続教育
「日本獣医内科学会認定医、日本獣医外科学会会員」
「年1~2回、学会での症例発表を行い、最新の医療知識の習得に努めています」
このような継続的な研鑽の事実は、患者様に「この院長は、常に最新の医療を学んでいる」という安心感を与えるのです。
7.パート4:診療への向き合い方(具体例で)

「想い」ではなく「行動」を示す
「患者様一人一人の話をしっかり聞く」という抽象的な表現より、具体的な事例を示すことが重要です。
悪い例:「飼い主様とのコミュニケーションを大切にしています」
良い例:「初診時は、通常の診察に加えて、飼い主様のご質問に時間をかけてお答えします。症状だけでなく、ペットの生活環境や食事習慣についても詳しくお聞きし、総合的な治療方針を立案します。」
症例を通じた説明
「高齢犬の股関節形成不全の症例では、手術と保存療法の両面から、飼い主様とともに最適な治療法を検討し、QOL(生活の質)の向上を目指しています」
このように、具体的な症例を挙げて、診療への向き合い方を示すことで、患者様は「この院長は、うちの子のことも同じように考えてくれるだろう」という確信を持つことができます。
「失敗経験」の活用
「診療初期の経験不足から、治療方針の誤りもありました。その経験を学び、現在は事前の詳細な検査を重視し、より確実な診断と治療を行うようになりました」
このような「失敗から学んだ」という記述は、実は患者様に「誠実な医師だ」という好印象を与えるのです。完璧を装うより、失敗から学ぶ姿勢が、実は信頼を高めるのです。
8.パート5:患者様への約束
今後のコミットメント
メッセージの最後は、患者様への「約束」で締めくくることが重要です。
「これからも、新しい医療技術の習得に努め、飼い主様とペットの幸福のために、全力で診療に当たる所存です」
このような前向きなメッセージは、患者様に「この医院に通い続けたい」という感情を醸成します。
招待的な表現
「ご不明な点やご不安なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください」
このような招待的な表現を加えることで、患者様の心理的ハードルが低下し、実際の来院や問い合わせに繋がりやすくなります。
9.写真・プロフィール情報の活用

プロフィール写真の重要性
院長メッセージページには、必ずプロフィール写真を掲載することが重要です。
顔が見えないメッセージより、顔が見えるメッセージの方が、患者様との信頼構築に大きく寄与します。
写真は、プロの撮影による、清潔感のあるものを選びます。
診療風景の活用
院長メッセージページに、診療中の院長の写真(患者様のプライバシーを守りながら)を掲載することで、より具体的に「この院長の診療」をイメージさせることができます。
データビジュアライゼーション
「年間手術件数:◯◯件」という文字情報より、「グラフで示した手術件数の推移」の方が、視覚的にわかりやすく、患者様の信頼をより強く醸成します。
10.実例:メッセージ構成による患者信頼度向上
事例:院長メッセージ改善で初診患者が月間8名から月間18名へ
ある動物病院の院長メッセージページは、「獣医師志望の動機」と「一般的な診療方針」の記載が中心で、具体的な実績情報がほぼ記載されていませんでした。
結果として、患者様の評判では「実績がよくわからない」という評価に留まっていました。
改善前の構成
- 自己紹介:1段落
- 獣医師志望動機:3段落(詳細)
- 診療方針(抽象的):2段落
- 実績情報:ほぼなし
実施した改善
- 自己紹介を簡潔に(1段落)
- 獣医師志望動機を簡潔に(1段落)
- 臨床経験と実績を大幅に追加(3段落以上)
- 専門分野を明確化
- 具体的な症例事例を2~3例追加
- 学会活動と継続教育を記載
- プロフィール写真と診療風景写真を追加
- 年間手術件数をグラフで表示
改善結果
メッセージページの改善から3ヶ月後、新患様からの初診予約が増加しました。
| 指標 | 改善前 | 改善後 | 変化 |
| 月間初診患者 | 8名 | 18名 | +125% |
| メッセージページ閲覧数 | 月間50件 | 月間120件 | +140% |
| 患者満足度評価 | 3.2/5 | 4.6/5 | +1.4ポイント |
| 患者口コミ(実績への言及) | 5% | 42% | +37ポイント |
特に、「実績が明確に示されている」「安心感がある」という患者様からの口コミが大幅に増加しました。
11.まとめ
院長メッセージページは、患者様が「この医院を信頼してもいいか」を判断する、極めて重要なページです。
「想い」だけのメッセージより、「想い」に「実績」を加えた構成が、患者様の心を最も効果的に掴むのです。
患者様は、医療人としての「誠実さ」と「実績」を求めています。経験年数、手術実績、学会活動、具体的な症例—これらの「実績」を、具体的に示すことで、患者様の信頼は飛躍的に向上するのです。
院長メッセージページ構成の要点
- 簡潔な自己紹介(氏名、学歴、経験年数)
- 獣医師志望動機(簡潔に、1段落程度)
- 臨床経験と実績(具体的数値)
- 専門分野の明確化
- 学会活動と継続教育
- 具体的な症例事例(2~3例)
- 失敗から学んだ経験
- 患者様への約束
- プロフィール写真と診療風景
- データビジュアライゼーション
「想い」から「実績」へのシフトにより、患者様の信頼と新患獲得が同時に向上するのです。
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