カラーパレットで差をつける動物病院のブランディング ― 色彩心理学を活用した効果的な配色選択 ―

目次
1. なぜ今「色」が動物病院ブランディングで重要なのか
2. 動物病院で求められる印象と色の関係
3. 色彩心理学から見る「飼い主に安心感を与える色」
4. 動物病院の目的別・おすすめカラーパレット例
5. 成功事例:配色を変えて問い合わせ率が1.8倍に
6. 院内デザインとWebデザインを統一する効果
7. 色の一貫性がもたらす“ブランド認知”の力
8. 配色設計で失敗しないための5つの注意点


1.なぜ今「色」が動物病院ブランディングで重要なのか

「うちは技術で勝負したいからデザインは二の次」という声をよく聞きます。
しかし、近年の飼い主さんの行動データを見ると、“第一印象”で選ばれる病院が確実に増えています。

Googleビジネスの調査によると、

  • 来院前に病院のWebサイトやSNSを確認する飼い主:87%
  • 「サイトの印象」で来院を決めたと回答した割合:52%

つまり、デザイン=集客の入口になっているのです。
中でも「色」は視覚情報の80%を占め、印象形成の最重要要素。
たとえば、青系は「信頼感」、緑系は「癒し」、オレンジは「親しみ」など、
色には無意識の心理的影響があります。

動物病院においても、「どんな色を選ぶか」がブランディングの核心になります。

 

2.動物病院で求められる印象と色の関係

飼い主が病院に求める印象は、主に次の3つに分類されます。

求められる印象 適した色 効果
信頼感・清潔感 ブルー、ホワイト 医療的・誠実な印象を与える
安心感・やさしさ グリーン、ベージュ、クリーム 緊張を和らげ、居心地の良さを演出
元気・親しみ オレンジ、イエロー 若い飼い主やファミリー層に好印象

たとえば、

  • 外科や皮膚科など「技術力」を訴求したい場合は青系中心
  • ペットホテルやトリミングを併設しているなら暖色系
  • 高齢ペットケアや予防医療に力を入れる場合は緑やベージュ

このように診療方針や来院層に合わせて色を設計することで、自然に「伝わるブランディング」が可能になります。

 

3.色彩心理学から見る「飼い主に安心感を与える色」

色彩心理学では、人の感情は色によって誘発されることが知られています。
以下は、動物病院における主要カラーの心理効果です。

心理的効果 活用シーン
信頼・誠実・冷静 外科・内科・検査センターなど医療的印象を強めたい時
安心・自然・回復 待合室・健康診断・予防医療ページ
オレンジ 温かさ・活気・親近感 トリミング・スタッフ紹介・SNS投稿
ベージュ 落ち着き・清潔感 院内全体のベースカラー
ピンク 優しさ・思いやり 小動物・猫専門・女性スタッフ中心の院
グレー 高級感・安定 高価格帯・専門医療・老犬ケアなどに最適

たとえば、待合室を淡いグリーン+ベージュでまとめるだけで、
来院した飼い主の緊張感をやわらげる効果が生まれます。

また、Webサイトやロゴにもこの心理を応用すると、**「信頼できる」「優しそう」**といった感情が自然に引き出されます。

 

4.動物病院の目的別・おすすめカラーパレット例

① ファミリー層に親しまれる地域密着型

主色: オレンジ × ベージュ
補色: ホワイト × ブラウン
→ 明るく温かみのある印象。SNS映えもしやすい。

② 専門診療・高度医療を打ち出すタイプ

主色: ネイビー × ホワイト
補色: グレー × シルバー
→ 技術力・信頼感・清潔さを表現。

③ 高齢ペットケア・リハビリを重視する病院

主色: グリーン × アイボリー
補色: ブラウン × ベージュ
→ 安心感・自然回帰・やさしさを演出。

④ 猫専門クリニック・小動物特化

主色: ピンク × モカ
補色: ホワイト × グレー
→ 柔らかく穏やかな印象で、女性飼い主層に人気。

💡 ポイント
カラーパレットは「3〜4色以内」に統一すると、ブランドの世界観がぶれません。
メインカラー:印象を決める軸
サブカラー:アクセントやボタン色
ベースカラー:背景や余白

 

5.成功事例:配色を変えて問い合わせ率が1.8倍に

C動物病院(地方都市・開院10年)は、以前まで青+グレーの一般的な医療配色を採用していました。
しかし「冷たく見える」「敷居が高い」といった声を受け、ブランディングを一新。

リニューアル後:

  • メインカラーをグリーン×ベージュに変更
  • 院内壁紙とWebサイトの色を統一
  • ロゴも自然モチーフに刷新

その結果、

  • Google検索からのクリック率:1.6倍
  • お問い合わせ件数:月8件 → 15件
  • 初診の来院率:前年比+78%

色を変えただけで、「優しそう」「雰囲気が良さそう」という印象を持たれ、
見た目の安心感”が行動につながった典型例です。

 

6.院内デザインとWebデザインを統一する効果

ブランディングで最も重要なのは「一貫性」です。
院内の色とWebサイト・SNSの色が統一されているだけで、
飼い主の印象は大きく変わります。

  • 院内壁・看板:ベージュ × グリーン
  • Webサイト:同トーンの背景とボタン色
  • Instagram投稿:同系色のフィルターで統一
  • 名刺・診察券:同じパレットを使用

これにより、「○○動物病院といえばあの柔らかい緑色」という色による記憶の固定化が生まれます。

実際、ブランディング調査では、

「印象に残った動物病院の特徴は?」という質問に対し、約45%が“色や雰囲気”と回答
(弊社2024年度・動物病院Web印象調査より)

 

7.色の一貫性がもたらす“ブランド認知”の力

有名ブランドはすべて、「色で記憶される」戦略を取っています。

  • マクドナルド → 赤と黄色
  • スターバックス → 緑
  • 無印良品 → ベージュとブラウン

同様に、動物病院でも**「ロゴ・院内・Web・SNS」すべてを同色系で統一**することで、
「この色=この病院」というブランド認知が自然に形成されます。

さらに、

  • 飼い主がGoogleで再検索した際に再認識されやすい
  • SNSでの投稿が“自院らしさ”として伝わる
  • 他院との差別化が明確化する

という3つの効果が期待できます。

 

8.配色設計で失敗しないための5つの注意点

  1. 色数を増やしすぎない
    → 5色以上使うと印象が散漫に。メイン+サブ+アクセントの3色構成が理想。
  2. 文字と背景のコントラストを確保
    → 可読性が低い色(例:薄グレー文字×白背景)はSEOにも悪影響。
  3. スマホでの見え方を必ず確認
    → PCではきれいでも、スマホでは沈んで見える色がある。
  4. 院のターゲット層と一致しているかを確認
    → 若年層向けなら明るい色、高齢層向けなら穏やかな色を。
  5. 安易に流行色を取り入れない
    → 毎年のトレンドカラーに振り回されると、一貫性が崩れる。

 

9.まとめ:色が“選ばれる病院”をつくる

「うちは小さな病院だからブランディングはまだ早い」
そう考える院長先生も多いですが、色の統一から始めるブランディングは今日からできる施策です。

✅ 今すぐ取り入れられる3つのステップ

  1. 現在の院内・Web・ロゴの色を分析する
  2. 理想の印象(信頼・安心・親しみ)を決める
  3. その印象に合ったカラーパレットを選び、一貫して使用する

色彩は感情を動かし、印象を決定づける最強のツール。
デザインの統一が、“遠くても行きたい病院”をつくる第一歩です。

私たちは、動物病院のブランディングに特化した
カラーデザイン設計・ロゴ制作・Webサイト構築・運用サポートを提供しています。
まずは現在の配色を診断し、どんな色が“あなたの病院らしさ”を最も伝えられるかを一緒に見つけていきましょう。